ID : 11865
公開日 : 2009年 5月28日
タイトル
オオタカ:生息しやすい森林を 安中の国有林1756ヘクタールが対象
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20090527ddlk10040101000c.html
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元urltop:
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写真:
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◇群馬森林管理署
県南西地域の国有林を管理する群馬森林管理署(中岡茂署長)は、森の生態系の頂点といわれ、生物多様性のシンボルになっているオオタカが生息しやすい森林づくりに向けて、準備を進めている。同署によると、オ
オタカの生息環境を配慮した国有林経営は、全国で初めてという。
計画地は「オオタカモデル森林」と名付けられ、10年度から始まる西毛地域の第4次森林計画に盛り込む。対象の森林は、安中市松井田町地域にある国有林1756ヘクタールで、植林された杉、ヒノキが中心。森林内で
はオオタカのつがいの生息が確認されている。
計画では、オオタカが餌にしている小鳥は広葉樹林に多く生息していることから、現在は全体の2割強に当たる400ヘクタールしかない広葉樹林を80年後には4割強の750ヘクタールに増やす。
植林した杉は現在45~50年で伐採し、柱材などに使われているが、伐採時期を80年に延長し、大きな板材などの利用も図っていく。伐採時期を延ばすことで伐採面積も年間12ヘクタール以下に縮小、一カ所の伐採
も5ヘクタール以下にして森林の大規模な変容をできる限り避ける。
さらに、30年生の樹木から10年ごとに間伐を繰り返して、オオタカが飛びやすい空間を確保。枝張りのよい杉の大木など営巣に適した樹木も伐採しないで残す。
これらの成果をモニタリングして評価するために、鳥類の生息や森林環境の専門家らで委員会を設置するという。
オオタカは、全長50~60センチ、翼を広げると1~1・3メートルの猛禽(もうきん)類。環境省のレッドリストでは、生息条件の変化によっては絶滅危惧(きぐ)種に移行する可能性のある「準絶滅危惧種」に指定されて
いる。ハト類やムクドリ、カケス、コジュケイなどの鳥を主な餌にしており、食物連鎖の頂点に位置することから、森林の健全性の象徴になっている。スギ、アカマツなどの針葉樹林の中にある、大きな木の枝分かれした
所に巣を作ることが多い。