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ID : 11583
公開日 : 2009年 5月 3日
タイトル
地球温暖化、衰える森林 固有種、全滅の危機 その1
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20090504ddm010040022000c.html
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元urltop:
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写真:
 
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◇拡大する外来種 変わる生態系、進まぬ調査
 日本にしかいない固有種ニホンイシガメが生息する千葉県君津市の河川。環境NPO「カメネットワークジャパン」の小菅康弘代表理事(33)は最近の「異変」を心配する。昨年2~3月に実施した調査で、イシガメと在来 種クサガメの死骸(しがい)は105匹を数えた。多くは足や尾がなかったり、動物にかじられたような跡があった。生きているカメ23匹で足の先端が欠けていた。雌は産卵時に足で穴を掘るので繁殖への影響が心配され る。例年の死骸は1~3匹という。
 周辺にはタヌキやイタチが生息し、雑食の外来種アライグマの分布が拡大している。これらの動物に捕食された可能性が高い。河川の護岸工事でイシガメの生息域は狭められている。だが環境省のレッドリスト(絶滅の 恐れのある野生生物リスト)では「情報不足種」。
 調査を支援する環境NPO「アースウォッチ・ジャパン」は16日から、大都市近郊の多摩川や鶴見川でも新たに調査を始める。
    ◇
 国内では約2000の外来種が確認された。アルゼンチンアリのように農作物や植物に付着し意図せず入ってくる場合がある。北海道では、トマト受粉用に欧州から輸入されたセイヨウオオマルハナバチが野生化、ノサッ プマルハナバチを脅かしている。九州の筑後川水系では、南米産ブラジルチドメグサが水面を覆い、他の生物の生息を妨げると心配されている。外国産クワガタムシと日本のヒラタクワガタとの交雑種も見つかった。
 被害を及ぼす恐れのある生物は外来生物法で特定外来生物(96種)に指定。飼育や栽培、輸入などが規制されている。規制対象ではないが、要注意外来生物は148種。ニジマスなど身近な生物も多い。環境省と沖縄 県は、絶滅危惧(きぐ)種アマミノクロウサギを捕食するジャワマングースを駆除。琵琶湖では滋賀県が漁協と協力し、オオクチバスを捕獲している。
    ◇
 4月、イタリアでの主要8カ国(G8)環境相会合。生物多様性保全には、温暖化防止と外来種侵入防止が重要との認識で一致した。
 5月22日は国連が定めた「国際生物多様性の日」で、今年は「生物多様性と侵略的外来生物」がテーマだ。国立環境研究所の五箇公一リーダー(生態学)は「外来種は悪者という印象だが、人間活動で持ち込まれている 。豊かな生活と生物多様性が両立しにくい現状を知り、自然と人間のかかわりを考えてほしい」と話す。
 ◇多様性劣化、早期治療を--WWFジャパン自然保護室次長・草刈秀紀氏に聞く
 世界自然保護基金(WWF)は98年から隔年で、地球の健康状態を分析する報告書「生きている地球レポート」を発表している。最新の分析では、地球が持続的に提供できる資源量を3割近く上回って消費していると警 告した。世界約5000地点で、1686種の生物の数を調べたが、70年と比べ30%近く減少した。原因は森林伐採や海洋汚染など人間の開発行為だ。森も海も二酸化炭素の重要な吸収源であり、生物のすみか。温暖化と 多様性劣化の根源は共通している。
 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は温暖化とそれに関連する生態系影響などの研究を検証し、定期的に政府に報告している。人々が毎年、職場や学校で肺のエックス線検査を受けているようなもので 、異変の早期発見を可能にしている。
 一方、生物多様性は温暖化問題ほど認識されていないが、動植物の遺伝資源をもとに薬が開発され、農林水産業も生物あってのことだ。陸と海、熱帯と寒帯など場所に応じて個性があり、つながりがある。多様性が失 われていくのは、地球を人の体に例えると、五臓六腑(ろっぷ)の状態が徐々に悪化する生活習慣病のように映る。早期発見が難しく治療も遅れている。国連が生物多様性版IPCCを設置しようとしているが、その動きを 加速すべきだ。
 12月、京都議定書に定めのない13年以降の枠組みが決まる。来年10月に名古屋で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議では、多様性保全の目標を数値で示せるかが議論の焦点になる。私は今年1月、NGO や企業などの有志とともに「生物多様性条約市民ネットワーク」を設立した。温暖化防止と生物多様性保全に向け、政府が一体となって取り組むよう働きかける。【聞き手・田中泰義】
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 ■ことば
 ◇生物多様性条約
 多様な生物をその生息環境とともに保全することを目的に92年採択。日本を含む約190カ国・地域が締結している。地球には3000万種の生物が存在すると言われ、毎年4万種が絶滅していると推測されている。第 6回締約国会議では「生物多様性が失われる速度を2010年までに顕著に減らす」との目標を掲げたが、達成の見通しは立っていない。来年10月に名古屋市で開かれる第10回締約国会議が注目されている。
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 ◇生物多様性を巡る動き 92年 条約採択
93年 条約発効
94年 第1回締約国会議(COP1)
00年 カルタヘナ議定書を採択。遺伝子組み換え生物の輸出入規制などを盛り込む
02年 COP6 生物多様性の損失速度を10年までに減少させるとの目標を設定
10年 名古屋市でCOP10開催へ
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