ID : 10710
公開日 : 2009年 3月 3日
タイトル
東山の森 官民で守れ
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kyoto/news/20090303-OYT8T00054.htm
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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東山、左京両区にまたがる東山の再生を目指し、学識経験者や行政、住民らでつくる「京都伝統文化の森推進協議会」(山折哲雄会長)が2日、東山区の国有林で、「斧入(おのいれ)式」を行った。住民らが資金
を提供し、長期的な森作りを進める全国でも珍しい取り組み。官民一体で間伐や植樹を行い、文化的な景観や豊かな植生を保護する。
東山は古くから寺社や離宮が造営され、日本の伝統文化と森林の融合が図られてきた。しかし、戦後は生活様式の変化でシバを刈るなどの手入れが行き届かなくなり、アカマツやナラ、モミジなどが枯死。一方で常緑樹
のシイが広がり、かつての景観が失われている。
このため、林野庁近畿中国森林管理局や京都市、学識経験者らが2007年12月に同協議会を設立。清水寺や高台寺、青蓮院、祇園商店街振興組合など地元の寺社や住民らは「サポーター」として植樹資金や労力を提
供し、近くの京都女子大は「阿弥陀ヶ峯」で環境教育を行う協定を同管理局と結び、連携した取り組みを進めている。
協議会は、再生を目指す国有林約190ヘクタールを「清水」「阿弥陀ヶ峯」「八坂」の3ブロックに分け、森林整備や文化的価値の発信を計画。試験的に3ブロックの約90ヘクタールで、森を暗くしているシイの木を伐採
し、多様な苗木を植えることを決めた。
この日は、約50人が東山区の清水寺境内で法要後、近くの山で森林整備の開始を告げる斧入式を実施。山折会長らが、シイの大木1本に斧を打ち込むなどして切り倒した。一帯では今後、シイの大木4本を伐採し、跡
にモミやイロハモミジなどを植える。
山折会長は「自分たちで街を守り、変えていくという京都らしい取り組み。人は山の重要性に気付きつつあり、継続して連携することが大切」と話していた。