ID : 12128
公開日 : 2009年 6月17日
タイトル
耐塩ユーカリアフリカへ 筑波大が栽培
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ibaraki/news/20090616-OYT8T00450.htm
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元urltop:
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写真:
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サハラ砂漠植林で試用 筑波大が試験栽培を進めている、海水でも枯れない遺伝子組み換えユーカリが、塩害で樹木が育ちにくいアフリカ・サハラ砂漠周辺地域の植林プロジェクトで試用される。緑化を進
めるアフリカ開発銀行(本部・チュニジア)の支援要請に応じたもので、筑波大では今後、栽培の適地や栽培技術指導などの準備を本格化させる。
支援は今月13日、イタリアで開かれた主要8か国(G8)財務相会合で、与謝野財務相が表明した。
組み換えユーカリは、もともと乾燥に強いユーカリに、土壌細菌の一種が持つ、塩分濃度が高い状態でも細胞が脱水状態にならないたんぱく質を作る遺伝子を組み込んであり、海水並みの塩分濃度でも枯れることがな
い。日差しを遮る日陰を作ることができる樹木で、これほど塩害に強い例は、他に見あたらないという。
本来は製紙原料にしようと日本製紙などと開発、2005年から大学構内の栽培施設で栽培している。
地下水位の低下などで塩害が発生しているサハラ周辺地域は、通常の樹木が育たない場所が増え、砂漠化の進行が脅威となっている。
昨年10月、アフリカ開発銀行のドナルド・カベルカ総裁が施設の視察に訪れ、塩害に強い組み換えユーカリに強い関心を示し、今年5月、日本政府に対し、植林プロジェクトへの協力を要請。筑波大ではこれに応える
形で支援を進めることにした。
今後、2年ほどをかけて栽培の適地や栽培規模などの予備調査を行い、本格的な活動への準備をする。現地の農業技術者を招いた栽培教育なども検討していく。
ユーカリはオーストラリア原産で、アフリカには近縁種がないことから、在来の植物と交雑するといった生物多様性への影響の心配はない。
渡辺和男・筑波大遺伝子実験センター教授は「パキスタンや南米のチリなど、アフリカ以外にも砂漠化や塩害に悩む地域は多く、緑化を実現する技術開発のうえでも意義がある」と話している。