ID : 10688
公開日 : 2009年 2月27日
タイトル
炭素繊維と間伐材で炭の浮き島 水の浄化装置に採用
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20090301ddlk11040165000c.html
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元urltop:
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写真:
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◇安く簡単、高い効果 住民参加の環境活動に--モデル河川・芝川で
河川環境の改善に地元住民と共に取り組む県の事業「水辺再生100プラン」で、新素材の「炭素繊維」と間伐材や炭で作った「浮き島」が、子供でも設置や製作できる水の浄化装置として採用された。価格も安く、住民参
加型の環境活動で重宝されそうだ。
水辺再生事業モデル河川の芝川(川口、鳩ケ谷市)で2月18日、住民らで水の浄化装置を設置するイベントがあった。川口市立上青木南小の児童たちはムカデの足のような形の黒い炭素繊維の束を64個水中に沈め、
鳩ケ谷市立南小の児童は炭や竹で作った浮き島を5基水面に浮かべた。
炭素繊維はアクリル繊維を熱処理して作られ、7マイクロメートル(0・007ミリ)の細い繊維が束になっている。価格は芝川に沈められたもので計約7万4000円。販売する「ソーエン」(群馬県)によると、水の汚れを食
べる微生物が生息しやすく、太陽光線を浴びて発する音波が魚類を呼び寄せる効果も実証されているという。
一方、浮き島はNPO「とよあしはら」(越谷市)が東京農大の教授と共に開発した。木材片で作った炭の俵を、間伐材と竹で作った枠に取り付ける。子供たちが作る際は、NPOのメンバーが指導にあたる。炭俵にアシや
ショウブの根を埋め込み、炭や植物が川の汚れを吸収するという。価格は1基12万~20万円。02年から全国各地で普及活動を行い、これまでに約150基を設置した。
イベントに参加した鳩ケ谷市立南小6年の鈴木彩花さん(12)は「自分たちが作った物で川がきれいになるのはすごい」と喜ぶ。県は「住民が装置の設置や製作にかかわることで、環境保全の意識が高まり、『地域の川』
としての愛着も生まれる」と期待。今後も藤右衛門川(さいたま、川口市)などで採用する方針だ。
ソーエンの小暮幸雄社長(52)は「行政もやっとハコモノでなく、安くて効果の高い素材に目を向けてくれるようになった」と語り、とよあしはらの山本裕隆事務局長(60)も「大規模な浄化施設と比べてはるかに安い。作
る過程はコミュニケーションの場にもなる」と話していた。【