ID : 10435
公開日 : 2009年 2月10日
タイトル
近畿の森、企業がつくる──資生堂やサントリー
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新聞名
日経ネット関西版
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元URL.
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news004940.html
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元urltop:
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写真:
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京都府宇治田原町で森林保全活動に参加したコカコーラ・ウエストの社員と家族
荒れた山を再生しようと、植樹や伐採など森林整備に参加する大手企業が近畿で増えてきた。企業と森林所有者の活動を自治体が仲介することで、企業は地域貢献をアピールでき、財政難の自治体は費用を企業に負
担してもらえる。森林保護活動は京都議定書や自治体条例が定めた温暖化ガス削減量に算入できることから、企業の協力は今後も広がる見通しだ。
和歌山県の2002年度の「企業の森」事業を皮切りに近畿各府県が同様の取り組みを開始。2府4県事業への企業・団体の参加件数は延べ約100件、森林面積は約3000ヘクタールに達した。荒れた森林を所有者から無償で借
り、企業が森林組合などと共同で間伐や植栽などの作業をし、整備費用も負担する。
資生堂は20日、和歌山県、白浜町、植栽作業の補助や管理を委託する西牟婁森林組合などと協定を結ぶ。同社のシンボル「花椿(つばき)」にちなみ、5月から白浜町椿の約1.7ヘクタールの民有林にヤブツバキ約2700本を
社員や家族が植え、「椿の森(仮称)」として整備する計画だ。これで県内の参加は47社・団体、整備面積は計174ヘクタールとなる。
京都府と社団法人のモデルフォレスト協会による活動にはサントリーや村田製作所など23社・団体が参加。京都市の三井物産の社有林からは今夏から五山の送り火や鞍馬の火祭など伝統行事に使う間伐材を供給する
。日本旅行は一部の修学旅行でバスなどを利用する際に出る二酸化炭素(CO2)を計算。排出量に見合う資金を森林整備費として提供し始めた。
大規模工場などにCO2削減量を報告・公表させる温暖化防止条例を06年に施行した大阪府。現在、シャープや日本IBMなどが森林整備に協力した分を削減実績に加えている。
自治体と別に、企業独自の取り組みも広がっている。日本生命の「ニッセイ緑の財団」はこれまでに近畿で9万本の木を植樹した。住友ゴム工業はドングリから苗を育てて植樹するプロジェクトを08年から本格化。神戸
市の本社や全国主要6工場などで育てた苗を10年間で20万本植樹し、25年後には同社のCO2年間想定排出量と同量の23万4000トンを吸収する計画だ。
コカ・コーラウエストは水を使う企業として工場上流の水源林の保全活動に着手。遊歩道の整備や枝打ちをし、新入社員研修にも活用している。コープこうべ(神戸市)は昨年11月から兵庫県西宮市の里山を「コープの
森」として整備。レジ袋削減運動で有料化したレジ袋の代金を整備費に充てている。
景気後退で企業の参加意欲の衰えを懸念する声もあるが、和歌山県は「紀州ひのきの住宅建設を手掛ける関東の住宅メーカーが熊野古道沿いでの森林整備を決めるなど、現在も関心は高い」(農林水産部)とし、「17
年度までに県内での参加企業・団体数を100に増やしたい」としている。