ID : 9340
公開日 : 2008年 11月12日
タイトル
間伐材生かし、アイデア商品
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20081111ddlk30020604000c.html
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元urltop:
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写真:
木材業界の記事です
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WakayamaEconomy:紀の川市 エム工房 間伐材生かし、アイデア商品
間伐材で防護柵などの木材製品の開発、設計を手掛ける。木材の可能性や用途を広げながら、地元の木を使って森を活性化させようと頭をひねる。社長の道上宏さん(54)は「木の持つ見た目の柔らかさ、ぬくもりをも
っと街の風景になじませたい」と言う。出版社や商社、公園施設メーカー勤務を経て独立。大阪や金沢にも事務所を構え、近畿や九州を中心に駆け回る。
10月に開催された間伐材利用コンクール(間伐推進中央協議会主催)の「暮らしに役立つ間伐材利用」部門で、出品した「アールベンチ」が全国木材組合連合会会長賞を受賞した。座面を半径1メートルの曲面にし、座り
心地とデザイン性の高さが評価された。「間伐材でもデザイン性が高ければ都市空間でも際だつ製品になる証明ができた。これをきっかけに、間伐材に木としての市民権を」と期待する。このベンチは和歌山電鉄貴志川
線の駅舎をはじめ、能登空港(石川県)など県外でも利用されている。
山間部の砂防ダムなどでも、こだわるのは、なるべく自然の風景を崩さない設計とデザイン。外観に積極的に木材を活用して、コンクリートや金属資材を覆って隠す。耐久性を危惧(きぐ)する声もあるというが、「木は
腐れば分解して自然に帰る。10年たったらまた替えればいい。大事なのは木材を使うこと。山全体のことを考えないといけない」と環境への意識は高い。
工場は持たず、製品は現地の森林組合に依頼して、現地の木材で製造してもらう。各地を訪ね歩く中で、森林組合が高い技術、充実した施設を持ちながら、稼働率が十分でないことを痛感した。「仕事がないのが一番
の問題。山に携わる人たちに活気が戻れば、森も生き生きとしてくるはず」と語る。
酒造会社がウイスキー製造で使った古樽(だる)にも目をつけ、テーブルや住宅のベランダのフェンスにして再生させる。雑誌記者や営業職で培ったフットワークの軽さと柔軟な発想で、次々と製品を開発していく。道
上さんは「本能的に人は木が好きだと思う。製品になって『やっぱり木っていいですよね』と言ってもらうことが一番の喜びです」と話している。【藤顕一郎】
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◇データ
03年創業、05年に有限会社化。資本金300万円。従業員は事務を手伝う妻幸子さんと2人。紀の川市貴志川町前田475の5。電話0736・64・3886、ファクス0736・64・7104。