ID : 9179
公開日 : 2008年 10月24日
タイトル
全国育樹祭 県内林業再生のきっかけに
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新聞名
愛媛新聞
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元URL.
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200810257614.html
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元urltop:
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写真:
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皇太子さまをお迎えして、第三十二回全国育樹祭が今日と明日、松山市久谷町の久谷ふれあい林と同市市坪西町の県武道館で開催される。
一九六六年の第十七回全国植樹祭で昭和天皇と香淳皇后が植えたスギを皇太子さまが手入れする「お手入れ行事」や、緑化功労者の表彰などを行う式典行事がある。
全国育樹祭の式典行事が屋内で開催されるのは初めて。県産材をふんだんに使った県武道館をアピールする狙いもある。
同時に開催される育樹活動などを通じて、森林整備の機運が高まり、県内林業再生のきっかけになればと願う。
本県の森林面積は約四十万ヘクタールで、県土の71%を占めている。また製材品出荷量が全国四位の林業県でもある。
しかし、木材価格の低迷や後継者不足で、林業はこれまで衰退の一途。間伐や枝打ちなどの手入れが行き届かず、山は荒れている。
一方で、戦後一斉に植林されたスギやヒノキが、柱が取れる八齢級(三十六年)以上に育っている。その年間成長量は、仮に県内の新築住宅をすべて県産材で建てたとしても、五年分に相当する。
資源小国日本で、目の前にあるこの再生可能な資源を活用しない手はない。
幸い、国内林業に追い風が吹き始めた。外国産材の価格上昇と供給量減少で、国産材が見直され、利用が徐々に増えている。
来年一月からは、ロシアが丸太の輸出関税を現在の25%から80%に引き上げる。北米産材も新興国の需要拡大で高騰。燃料費などの輸送コストも上昇し、国産材との価格差が縮まっている。
県内の林業の担い手も、土木業者の参入などで増加に転じつつある。高性能機械の普及で手作業が減り、生産コストも下がった。
今後は県産材の安定供給と需要拡大がカギになる。中でも、木材需要の八割は木造住宅が占めることから、個人住宅でいかに使ってもらうかにかかっている。
県内では三年前から、県産材を使った「地産地消の家づくり」活動が始まった。地元の山の木を切り、地元の職人が建てる木造住宅だ。
県も柱材代の補助や住宅ローンの利子補給制度などで、県産材の家づくりを後押ししている。西予市や大洲市など独自の補助金制度を設けた自治体もある。
愛媛の気候風土に合った木造住宅が増え、林業が活性化すれば、森林の維持管理も改善されよう。
森林は木材の供給だけではなく、水を蓄え自然災害を防ぎ、地球温暖化を防止するなどの役割も担っている。県民総ぐるみとなった森林づくりを進めていきたい。