ID : 8859
公開日 : 2008年 9月25日
タイトル
地球温暖化対策には「植林」よりも「間伐」が必要だ
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新聞名
JCASTニュース
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元URL.
http://www.j-cast.com/other/a02_eco/2008/09/24027377.html
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元urltop:
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写真:
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山の木を切ることは環境破壊だ、自然は人間の手を入れない方がよい――。環境保護への関心が高まっている現在、そう考えている人が少なくない。しかし、地球緑化センターの金井事務局次長は「正しい
理解ではない」と言う。いったいどういうことなのか。
人の手を入れないと、森林は健康に育たない
地球緑化センターの金井事務局次長(右)と熊崎さん 日本は、国土の約3分の2が森林に覆われている「森林大国」。戦中から戦後にかけて大規模な伐採が行われたが、昭和30年代に穴埋めをするように植林が盛んに
進められた。この木が成長して50年が経ち、いままさに伐採の時期を迎えている。しかし、多くの森林は放置されたままなのが実態だ。
「木造住宅の建設が減ったことに加え、価格の安い東南アジアなど海外の木材に人気が集まったことが理由です」(地球緑化センター・熊崎さん)。1955年には95%近くあった日本の木材自給率は、いまや20%にまで低
下している。放置された森林は過密状態になり、木の葉が茂らず下草も生えなくなっている。「木の根や落葉による山の保水力が弱まると、洪水などの災害や、水不足にもつながります。森林の問題は、私たちの日々の暮
らしにも影響を与えているのです」(金井さん)。
このような状況を解消するためには、伐期を迎えた木を適切に間伐(間引き)することが必要だ。「山を健康に育てるためには、人の手を入れることが欠かせない」とは、意外な事実かもしれない。国も2008年5月に「森
林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法」を施行し、地方自治体に補助金を交付するなどして間伐の促進を図っている。
全国12箇所、のべ1万人が「山と緑の協力隊」に参加
トヨタ自動車と共同で行っている中国での植林事業 国有林などで間伐や下刈りの手伝いを行う「山と緑の協力隊」は、地球緑化センターが推進を支援するボランティア活動の一つである。1996年以来、全国12箇所で実
施。参加者は、北八ヶ岳の国有林や湘南の海岸林、富士山の自然林などで、下草刈りや枝打ちをしたり、木を切ったりする。
作業前には暗く風も通らず、荒れた印象の森の中が、作業後には明るく光が差し込み、清々しい風が通り抜けていく。「森の循環」の回復を期待させる瞬間である。参加者がそれぞれ自分の体力に応じて貢献し、力を合
わせて充実感を得ることは、大きなリフレッシュにもなりそうだ。
このほか、「緑の親善大使」と名づけられた中国での植林活動には、多数のボランティアを集めているほか、トヨタ自動車など国内企業がCSR活動の一環として参画している。また「緑のふるさと協力隊」では、毎年50
名程度の若者たちが、日本全国の農山村で地域の活動に参加している。1年間の派遣期間を終えると、地元の人たちとの触れ合いを通じて人間的に成長する参加者も多く、約4割が派遣先に定着するという。
環境意識の高まりから、緑を大切にしたいという願いを、行動に移したいという人が増えている。金井さんは「森と私たちの生活とのつながりを理解してもらうためにも、気軽に相談に来て、事業に参加して欲しいです
ね」と話す。