ID : 8732
公開日 : 2008年 9月10日
タイトル
「森林環境税」先送り 道方針
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000809090003
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元urltop:
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写真:
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■「負担増、時期不適」
道民税に上乗せして徴収する「森林環境税」の導入時期について、道は少なくとも1年先送りする方針を決めた。当初は9日開会の定例道議会に素案を示し、来年4月からの実施を目指していた。しかし、原油高騰を受
けて日常生活に必要な支出が増えており、さらなる道民負担を求める時期ではないと判断した。
(中林加南子)
森林環境税は、長年放置された森林整備などに必要な費用の一部を道民から徴収する。道は「道財政が厳しいこともあるが、道民すべてが森林の恩恵を受ける。森林保全を道民みんなで考えてもらいたい」と理解を
求めている。
道は、間伐や植林が必要な約2万7千ヘクタールの私有林の整備や植樹に税収を充てることを想定している。これに73億円がかかると見込み、その原資として個人から年500円、企業からも収益に応じて数千~数万
円を5年間徴収する案が有力になっていた。現在、整備対象を市町村が所有する市町村林までに拡大するかどうかを検討している。
高橋はるみ知事が昨年5月、同税導入を表明していた。今年2月には、「道森林づくり審議会」の専門委員会から「(道民からの)税方式が適当」との答申を受けていた。道は9月道議会に課税額や期間を盛り込んだ素案
を示し、12月道議会に関連条例案を提案、来年4月からの導入を検討していた。
ところが、原油価格の高騰などに伴い、道民生活は厳しくなっている。灯油の配達小売価格は8月現在、前年同期よりも50円以上高い133・9円と高値で推移している。小麦や飲料など日常品も値上がりし、北海道経済
産業局は8月の管内経済概況について「弱含みで推移している」として、7月からさらに下方修正した。
道はこうした事情を踏まえ、「実質的な増税になる森林環境税をこの時期に導入することについて、道民の理解を得るのは難しい」と判断し、先送りを決めた。
道条例の規定上、年度途中から道民税の徴収を始めることはできないため、導入は早くても10年度以降になる。
道森林計画課は「森林づくりは息の長い取り組み。始める時に焦っても仕方なく、引き続き議論を深めていきたい」と説明している。