ID : 8433
公開日 : 2008年 8月 3日
タイトル
県産材 復活の兆し 水源材の確保にも光明
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新聞名
東京新聞
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元URL.
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20080803/CK2008080302000136.html
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元urltop:
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写真:
木材業界の記事です
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低迷していた県産材の需要が増えてきている。県産材を使った木造住宅を造るケースが多くなったことや合板に使う外材入手が以前より難しくなり、国内材を使うようになったことなどが追い風になってい
るとみられている。県が進める林業支援と水源の森確保を目指す森林づくり事業が成果をあげつつある。 (長崎磐雄)
県環境農政部森林課によると、県内の森林は国有林を含めて約九万五千ヘクタールと県土の約四割。このうち民有林が八万四千ヘクタールで、スギ(六割)とヒノキ(四割)の人工林が三万二千ヘクタールを占めている
。
スギは四十五-五十年、ヒノキは五十-六十年が伐期とされるが、県産材はほとんどが戦後に植林された。山から切り出された原木は、一九九七年に約一万六千立方メートルだったのが、需要減により二〇〇三年には
約三千三百立方メートルまで激減。しかし、需要増を背景に〇六年には約一万二千二百立方メートルまで回復した。
県は一九九七年に荒廃した山林を支援し、水源林を確保するため森林づくり事業を開始。高齢化などで荒れている森林を所有者に代わって整備したり、林道が近くにあって木を切り出しやすい人工林の伐採や植林を
促す、などの事業を同時進行させている。
外材を輸入して製造していた合板は、関税の問題や現地の技術革新などで製品として輸出するようになったため、原材料確保が以前より難しくなり、国内材を活用するようになったのも追い風になった。少し曲がった
原木でも、合板には使えるため需要が増えたという。
また、二〇〇一年には県や県森林組合連合会などが「かながわ森林・林材業活性化協議会」を立ち上げ、県産材を使う事業所、工務店を認証する制度も設けた。二、三年後には県産材の利用を二倍に伸ばす計画だ。
県産材を使って住宅を建築する、南足柄市の建築会社では県産材復活について、「地産地消で環境を守ろうというお客さんが多くなった」と分析。服部俊明・県森林課長は「木を切って売り、植栽するという循環型を目指
している。水源の森を支える事業にわずかだが光が見えてきた」と話している。