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製材で発生する木くずや間伐材を粉砕して固めストーブやボイラーで燃やす「木質ペレット」が、原油高騰を追い風に灯油や重油に代わる燃料として生産が急増。森林資源の有効利用や地域エネルギー自給
につながると、生産や利用に乗り出す自治体も出てきた。
▽「需要伸びる」
木材価格低迷などで林業が衰退する東京都の奥多摩地域。青梅市の渓流沿いに製材業者らが設立した工場では、製材所から集めたスギやヒノキの端材やおがくずを固め、直径7ミリ程度の円筒状のペレットを年間150
トン生産している。
「東京ペレット」と名付け、家庭用ストーブの燃料として10キロ600円で首都圏で販売。川尻哲也工場長は「ストーブを10時間は燃やせる。灯油の値上がりで以前ほど『高い』と言われなくなった。需要は必ず伸びる」と
話す。
▽価格競争力
全国の木質ペレット生産量は2003年度の3800トンから、07年度は8倍を超える3万3500トンに増えた。製材業者などが運営する工場数もこの間に10から47に。メーカーや販売業者ら現在51社が参加する「日本
木質ペレット協会」も昨年秋に設立された。
林野庁は「1リットル100円の灯油と同じエネルギーを得る場合、木質ペレットの値段が1キロ46円未満であればペレットの方が有利」と推定する。
灯油の販売価格は7月現在、1リットル120円を超えたが、ペレットの国内平均販売価格は1キロ38円(07年度、林野庁調べ)。価格面では競争力が出てきた。今後は、割高とされるペレットストーブなどの値段をどう引
き下げるかが課題だ。
▽地産地消
伐採現場に放置される細い木や枝など「林地残材」を、森林資源の有効活用やエネルギー「地産地消」の観点から使う自治体も。
官民挙げてペレット生産に取り組む北海道足寄町。町庁舎の暖房用に利用し、昨年10~12月の間、重油に比べて燃料代約130万円を節約。「ペレットストーブを購入する町民も増え、林業活性化や新たな雇用創出に
つながりつつある」と町の担当者は話す。高知県仁淀川町も、スギなどの林地残材を活用しガス化発電とペレットの製造を同時に行う施設を建設し、温水プールや温泉で使い、エネルギー自給を目指している。
「岩手・木質バイオマス研究会」の金沢滋顧問は「スウェーデンでは、温暖化対策のため林地残材などを余すことなく利用している。日本でも森林からもっとエネルギーを得る仕組みづくりが必要だ」と指摘している。++
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