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ID : 8246
公開日 : 2008年 7月11日
タイトル
「グリーン電力証書」ビジネスに挑戦 山梨・都留市、自治体第1号へ
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/region/chubu/yamanashi/080711/ymn0807110310000-n1.htm
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写真:
 
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小水力発電による産業立地を研究していた山梨県都留市が、水力発電の特性といえる二酸化炭素が発生しない自然エネルギーの付加価値を証書で取引する「グリーン電力証書」ビジネスに挑む。証書の発 行元となる認証手続きをこの秋にも取るが、国内では証書を発行できるグリーン電力発電事業者となった自治体はなく、都留市が第1号の取り組みとなりそうだ。(牧井正昭)
 同市の小林義光市長は6月の記者会見で、「グリーン電力証書を発行できる団体となるために、小水力発電施設に計量法に適した発電量メーターを設置、認証機構(日本エネルギー経済研究所グリーンエネルギー認証 センター、東京都中央区)に登録したい」との考えを示した。
 風力、水力、太陽光などの自然エネルギーで起こした「グリーン電力」には、化石燃料の消費軽減、二酸化炭素排出削減などの付加価値があり、この付加価値が商品となる。今年のプロ野球セ・パ交流戦では58のナイ トゲームでスポンサーがグリーン電力証書を購入して話題となった。
 グリーンエネルギー認証センターによると「証書を購入した企業などは、実際にグリーン電力を使うのではなく、グリーン電力を使ったとみなされ、企業イメージを確実に高められる」という。国内では電力会社7社など が平成12年に「日本自然エネルギー株式会社」を発足させ、自然エネルギーが持つ付加価値を評価する仕組みとしてグリーン電力証書活用策を打ち出した。
 グリーン電力証書は、最近よく聞く「カーボン(炭素)オフセット(相殺する)」を補完するシステムでもある。二酸化炭素排出削減に努力する企業などが、やむをえず減らせない場合、グリーン電力への投資(証書の購入 )で排出削減不足分を相殺するという考え方だ。
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 都留市には市中心街を江戸時代の人工河川「家中川」が流れる。毎秒1トン前後の流量がある。平成14年度に川の流れを生かす新エネルギービジョンを策定。小水力発電の導入を促進する「アクア(水)バレー(谷)つ る」構想を打ち出した。18年度には市役所庁舎前に小水力発電施設「元気くん1号」を建設。自然エネルギーのシンボルタワーと位置づけ、産業活用戦略を大学教授らで研究し、昨秋は高校生が小水力発電施設を使った 人工ルビー製作実験を成功させた。
 小水力発電とはいえ、元気くん1号は年間最大10万キロワットの発電能力があり、昨年1年間の発電量は5万6236キロワット。市庁舎年間消費電力の14%を賄った。
 市政策形成課の中野一成政策担当は「証書を売り出すことで“環境教育都市としての都留”を全国にアピールできると考えてます」と、付加価値販売への転換について語る。同市はこれまで小水力発電の産業転化を研 究した。小水力発電がつくりだす付加価値も貴重な商品。二酸化炭素の排出を抑えなければならない企業は多く、モデル事業としてビジネス展開を実験的に進める価値はある。グリーンエネルギー認証センターのまとめ だと、認定を受けた証書発行者はこれまで11社。小水力発電では3件が認証されている。
 「グリーン電力証書の相場は1キロワット10円程度。昨年実績の発電分を全部証書で取引すると年間約60万円の収入」と中野政策担当は算用する。さらに「水力で1キロワットを発電すると二酸化炭素 555グラムを 出さなかったことになる。幹直径50センチのケヤキの木が1日に吸収する二酸化炭素量が 221グラムとして、単純計算で元気くん1号があることで市役所前にケヤキ 300本以上の森があるのと同じなんです」。小 水力発電が地球上の二酸化炭素を削減するのにいかに有効かを“ケヤキの森”に例えた。証書を売り出す際の重要なセールスポイントとなる。
 発電量メーターは9月ごろには設置を完了。その後業務認証を受ける。来年には元気くん2号を建設する予定の都留市の小水力発電付加価値にどんな買い手がつくか、社会の反応が待たれる。
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【用語解説】「グリーン電力証書」システム
 太陽光、風力、水力、バイオマス(生物資源)などの自然エネルギーによって発電された電力(グリーン電力)を、身近にそうした発電施設がない企業や個人でも環境対策として利用できるようにするための仕組み。グ リーン電力は「電力そのものの価値」に加えて、温室効果ガスを排出しないなどの「環境付加価値」も持つととらえ、この環境付加価値分を証書化し、市場で売買できるようにした。
 利用者は、通常通り地域の電力会社から供給される電力を使うが、電力料金の支払いとは別にグリーン電力証書を購入すれば、間接的にグリーン電力を使用したとみなされる。実際のグリーン電力自体は、地域の電力 会社に売電されたり、発電事業者自らが使う。認証されたグリーン電力の発電事業者は、証書販売によって得た収入を、コストが高くつくグリーン電力を発電するための「助成金」として使うことができる。
中川木材産業のビジネスPR その18 (公開2018.8.1 更新2019年11月11日 )