ID : 8119
公開日 : 2008年 7月 4日
タイトル
森林整備 都市とも手を携えて
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新聞名
信濃毎日新聞
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元URL.
http://www.shinmai.co.jp/news/20080703/KT080702ETI090005000022.htm
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元urltop:
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写真:
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間伐など手入れが行き届かずに荒れている山が多い。都会の人たちの手も借りて信州の山林を元気にしたい。
伊那市と東京都新宿区が既に協定を結んでいる。長野県と東京都も森林整備を通じた環境保全に関する協定の締結を計画している。この流れを太く確実にすることが大切だ。
森林を整備することで得られるるメリットは多い。
間伐で木の根が十分に育ち、土砂崩れが起こりにくくなる。
木材やバイオ資源としても役立つ。今は安い外国産の木材に押されているが、国産材の出番もいずれ来るだろう。そのときに備えて林を育てておくべきだ。
穀物を原料としたバイオ燃料が世界的な穀物高騰の一因となっている。間伐材などからペレット燃料づくりが行われている。バイオ燃料としての用途を広げたい。
地球温暖化の原因となっている二酸化炭素(CO2)を林が吸収する効果も大きい。京都議定書も、温室効果ガス削減に森林吸収分を認めている。
山村では、若者が都会に流出し、高齢化が進んでいる。林の手入れは進みにくい。
県が本年度から、森林づくり県民税(森林税)を導入した。荒れた個人所有林の整備を集中的に行う財源となる。所有者の同意取り付けなど課題は多い。モデル団地で問題点を探りながら全県に広げていくときだ。
都会との連携を森林整備のもう一つの柱に育てたい。
伊那市と新宿区が今年、市有林の間伐整備にかかる費用を区が補助したり、区民が森林整備を体験したりする「地球環境保全協定」を結んだ。区はCO2削減の手段に位置付けている。
親子連れらが訪れて昆虫を観察するなど、楽しみ方はいろいろあるだろう。
県と東京都が計画している環境保全の協定も実らせてほしい。横浜市からも温室効果ガス削減へ向けて連携の打診が来た。連携の相手候補には、市民出資で太陽光発電の普及を図っている飯田市が挙がっている。
県、市町村がそれぞれのレベルで、企業も巻き込んでこうした連携を広げていきたい。県には、森林整備のための「里親制度」もある。工夫すれば、いろいろな取り組みができる。
都会が金を出して山林の手入れをし、都市住民もそこで楽しむ。山林の持つ意義を再確認できる。受け入れる側にも、元気を取り戻すきっかけになる。