ID : 8069
公開日 : 2008年 6月30日
タイトル
CO2削減 農林業にチャンス
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/080630/env0806300824002-n1.htm
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写真:
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東京都心部から西におよそ50キロ。東京都青梅市は、都内とは思えないほど、豊かな自然に恵まれている。スギやヒノキの植林にも適しており、かつては林業も盛んだった。だが今では、細い木が林立し、
枝が方々に伸びたままのスギ林が目立つ。「伐採しても赤字だから放置されたんだろうね」。東京都森林組合の専務理事で林業を営む清水久巳さんは、スギを見上げながら残念そうに話した。
東京西部、多摩地区の森林面積は約5万3000ヘクタール。東京23区総面積の約85%に相当するが、安価な輸入材や、木材価格の長期低迷が林業の不振を招いた。若い世代は離れ、林業家は高齢になる一方。清水
さんも63歳。「息子は今サラリーマン。林業を継いでもらうつもりはない」という。
だが、環境立国を目指す日本にとって、林業の衰退はこのまま見過ごすことができない問題だ。地球温暖化防止の施策に影響するからだ。
◇
植物は光合成によって、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を吸収しながら成長する。このため、温室効果ガスの削減を目指した京都議定書でも、「森林吸収」を排出削減量として含めることが認められている。日
本は京都議定書で、第1約束期間(2008~12年度)中に、1990年度比6%を削減する義務を課されているが、このうちの3・8%を「森林吸収」でまかなう計画だ。
ただ、議定書で森林吸収に算入できるのは間伐などで手を入れた森林だけ。放置され、手付かずの森林がいくらあっても意味がない。林野庁によると、日本の森林吸収量は06年度で3721万トン。だが、これだけで
は90年度の排出量を3.0%削減できることにしかならない。