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元URL.
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/column/20080612/523046/?ST=office
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遊び心あふれるエコロジカルな体験ができるスペースがある――。そんな情報を聞き付けて、新丸ビルの10階にある「エコッツェリア」に行ってみた。出迎えてくれたのは、事務局次長の近江哲也さん。早速
、近江さんに施設内を案内してもらった。
まず案内されたのは、「CO2ルーム」と呼ばれる会議室だ。鉄製の扉は、レトロな雰囲気。丸の内八重洲ビルで使用していたものを拾ってきたのだという。近江さんは笑いながら「持ち上げてみてください」と一脚のいす
を指さした。見たところ普通のウッドチェアだが、びくともしない。重さを聞くと納得の25kg(筆者は女子です)。日本人1人が1日に排出するCO2の重さだという。いすの側面はCO2排出量の内訳が電力、ガソリン、都市ガ
ス、…といった具合に色分けされて仕上げてある。隣には、インド人の1日のCO2排出量である8kgのいすも置いてあった。CO2の排出量も形あるものにすると、実感できることに気付かされた。
天井から吊るした照明の光源には、高輝度LEDを使用している。昭和電気とロッソ社が共同開発した照明器具だ。LEDは光が硬質でまぶしく感じることが多いが、リフレクターがシェル形状になっているため、光が軟ら
かい。会議室でも違和感なく使用できることがわかった。テーブルの天板はプラスチックチップを再利用したオリジナルだ。“リサイクル話”のきっかけになる仕かけだ。CO2ルームには目でも楽しめるインテリアの工夫が
随所に施されている。予約制の会議室として貸し出されているので、プレゼンテーションの場として使ってみるのも面白い。初対面のクライアントとの打ち合わせもスムーズに進むはずだ。センスのある会議室を選んで
くれたと喜ばれるかも。
次に案内されたのは、サロンゾーンにある大会議室だ。シアター形式にすると、100人を収容できる。設置されているのはTEORI社製のいすで、岡山県が推進する竹集成材プロジェクトをきっかけに製作された。座っ
てみると、程よい硬さで、座り心地がいい。照明は、竹の集成材を使用した円形のシェードに、和紙が張られている。通路との間にあるパーティションのガラスは、建て替え前の新丸ビルで使用していたものをリユース
した。この空間だと不思議とセミナーも盛り上がるという。コンペの公開審査などにも活用できそうだ。
大会議室を中心にしたサロンゾーンでは、ユニバーサルデザイン総合研究所所長の赤池学氏や、木楽舎代表で月刊ソトコトの編集長の小黒一三氏、東京大学生産技術研究所副所長の野城智也氏らをプロデューサー
に迎えた会員性組織「丸の内地球環境倶楽部」の公開セミナーなどを定期的に開催している。同倶楽部のホームページで予約できるので興味がわいたらクリックを。
エコッツェリアは、4月25日に閉店した「大手町カフェ」のコンセプトを実践的に引き継いで、環境に配慮した“仕かけ”をスペース全体に散りばめている。エコッツェリア内には、ボードなどによる説明が一切ない。大手
町カフェで培ったコミュニケーションを重視し、コンシェルジュがさりげなく説明をしてくれる。このスペースから発信された活動がきっかけとなって「いつの間にか環境にいいことをしていた!というエコライフにつなが
っていくとうれしい」と近江さんは話す。
ハード面だけでなく、環境活動に関心の高いエンドユーザーを巻き込んだ様々なイベントも推進している。例えば、出勤前の時間帯にヨガやコンサートを開催するイベント「朝EXPO」。通勤時間をずらすことで、ラッシュ
の緩和やエネルギーの節約につなげるものだ。また、「Suica」の電子マネー機能を活用した「大丸有エコポイント」は、大手町・丸の内・有楽町エリアにある導入店舗でSuicaを使って決済した場合に、エコポイントがもらえ
る。ポイントがたまるとイベントと連動した様々なエコ活動に参加できるしくみだ。
近江さんは「今のビルは環境に対する性能が高い。ビルに入居しているテナントの意識も高い。ぜひそうした技術や意識を持ってエリア全体の環境配慮にも協力していただきたい」と広い視野で環境対策に取り組む大
切さを話してくれた。
エコッツェリアで触れることができる家具や素材はどれも少し遊び心があって、楽しいものばかりだった。ダイエットも楽しまないと続かないと言われるが、エコライフも楽しみながらなら、続けられるような気がした。++
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