ID : 7430
公開日 : 2008年 4月29日
タイトル
木材流通の世界に飛び込んで約55年。旭日双光章
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/nara/080429/nar0804290459002-n1.htm
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写真:
木材業界の記事です
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教育や地方自治、医療などの分野で活躍した人たちに贈られる「春の叙勲」が28日、発表された。県関係では、瑞宝重光章と瑞宝中綬章の各1人を含め、県内在住者54人、県外在住者4人の計58人が選ば
れた。
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木材流通の世界に飛び込んで約55年。旭日双光章に選ばれた社団法人・全日本木材市場連盟元会長の長沼文雄さん(80)は「受章はこれまでの頑張ったことへの贈り物と思えて、大変幸せ」と喜びを語る。
昭和20年春に旧制中を卒業。軍人を志したが、終戦で農業に転じ、28年、現在も社長を務める関西木材市場(大阪市)に入社した。
忘れ得ぬ師は、同社初代社長で同連盟の初代会長も務めた故・久我俊一氏。「それまで事務職経験がなかった私を『ここに来たのも縁や。しっかりやりなさい』と採用してくださった。久我さんなくして私の人生は語れない
」と振り返る。
「常在戦場」を経営信条に、「温故知新」を社是に掲げ、赤字体質だった同社の経営改革に尽力。平成13年から約10カ月間、同連盟の4代目会長を務め、国産木材の普及に努めた。
一方、木を育てることの重要性にも早くから着目し、植林活動をライフワークとして取り組んできた。「木も人も育てることは同じ」。先人の知恵のありがたさをかみしめながら、先を見据えた仕事に取り組む。
「先人や英霊の犠牲の上に今がある。敬意を表すのは当たり前」と、同社の物故者や戦没者への供養は毎日欠かさない。「これからも力の限り頑張り、諸先輩に恥じないようにしたい」。80歳を迎えてなお、挑戦精神を
失わない。
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「受章は先輩や同僚の協力があったおかげ。組織として受章したと思っています」。瑞宝小綬章に選ばれた元中和広域消防組合消防正監、高谷博之さん(71)は、控えめに受賞の喜びをかみしめる。
昭和35年に橿原市消防要員となり、市消防本部の発足に向けて同僚らと京都市消防学校に入校。翌36年3月、同本部が発足すると、当直勤務の責任者として1グループあたり7人のメンバーをやりくりし、ほぼ2日に1
回当直に当たった。
草創期、地元消防団とはあつれきもあった。理解不足のためだったが、研修などを通じて解消に尽力し、強固な信頼関係を構築。「『正しいことは通じる』という信念があった」と振り返る。
昭和62年4月に中和広域消防組合が発足すると、消防本部次長に就任。それぞれの出身母体で思いも異なる中、積極的に意識改革を呼びかけた。
平成9年、同組合の消防長を最後に退職し、一線を退いたが、地域に向けるまなざしは今も変わらない。「今後も、相談役をつとめる地元の自主防災会などで、新旧住民の融和を図りながら発展に貢献したい」。受章を
励みに、さらなる飛躍を誓った。