ID : 6750
公開日 : 2008年 3月14日
タイトル
ベトナムの木材加工業、WTO加盟後の課題
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新聞名
HOTNAM!
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元URL.
http://www.hotnam.com/news/080314074514.html
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元urltop:
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写真:
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ベトナムの高額輸出品として5位の木製品は、年50%の成長を続けている。しかし世界的なシェアはまだ小さく、国際市場で勝ち抜くには乗り越えねばならない多くのハードルがある。
木材・林産物協会(Vifores)はこのほど、「世界貿易機関(WTO)加盟後の木材加工分野のチャンスと課題」と題し国際フォーラムを開催した。
Viforesによると、2002年以降ベトナムの木製品はアメリカ、EU、日本などを中心に世界120カ国に輸出され、輸出額は▽アメリカ:1億1,546万ドル(2003年)→9億ドル(2007年)、▽EU:1億6,000万ドル(2003年)→5億ドル(
2006年)、▽日本:1億3,790万ドル(2003年)→2億8,680万ドル(2006年)と大きく伸びている。
Nguyen Ton
Quyen副会長によると、ベトナムの木材加工業は強い成長期にあり、市場にも大きな可能性があることから企業が次々と設立されている。年間加工能力が15~200m3という小規模業者は1,500~1,800社、200万m3規模
が1,200社あり、うち国営企業が41%だ。輸出業者は450社で、2010年の売上げ目標を30億ドルと設定している。
ベトナムでは現在、148の輸出業者が製造・加工・流通における認証制度Chain of Custody (COC)認証を受けているが、これらの企業の所在地は南中部沿岸:61%、東南部:28%、Tay Nguyen地域:9%と偏っている。
木材加工業の発展は、外国投資家の貢献も大きい。2006年末時点で活動中の外資企業は約420社、投資額は3億3,000万ドルにおよぶ。投資家は台湾、シンガポール、マレーシア、中国といったアジア諸国を中心にスウ
ェーデン、ノルウェー、デンマーク、フランスなどの国もある。
フォーラムでは、今後の発展について専門家から3つの点が指摘された。
①輸出市場:国際市場の輸出額が年平均9~10%という伸びを見せるなかでのオーストラリア、韓国、カナダなど欧米、日本以外の国への輸出拡大が必要。
②原料輸入:国内の原料自給率が30%しかないため、森林管理協議会(FSC)の認証制度、全ヨーロッパ森林認証制度(PEFC)を導入している国々から輸入する必要がある。供給量や原料のFOB価格は現在のところ安定
している。
③米国への輸出拡大:世界最大の木製品輸入国アメリカは現在、ベトナムの主要な競争相手である中国製品に反ダンピング課税を講じており、輸出拡大の好機となっている。
ほかにも輸出拡大に向けた課題が複数挙げられ、Quyen氏は競争力の弱さを指摘した。企業がWTO加盟に際してのチャンスや影響を理解していないため、確固たる戦略を持たず、この機会を活かしきれていない。
またアメリカの中国に対する反ダンピング課税により、一部の中国企業が生産拠点をベトナムに移している。中国企業はベトナム企業より優れた技術や人事のノウハウを持っており、ライバルが国内に侵入してきたこ
とを意味する。さらにベトナムには勤勉で熟練した技術者がいるが、低賃金であることから労働者の能力を最大限に使いきれていない。
だが最も重要な問題といえるのが資源の創出だ。ベトナムは現在、原料の70%を輸入に頼っており、2006年の木材輸入額は7億2,000万ドルだった。木材のFOB価格と世界での供給量は安定しているものの、CIF価格
はガソリン価格や輸送費の上昇などを受け変化している。そのため国内での植林を進め、輸入依存を脱する必要がある。