ID : 6690
公開日 : 2008年 3月11日
タイトル
大船渡市内の民有林 森林伐採届が大幅増
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新聞名
東海新報
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元URL.
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws3392
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元urltop:
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写真:
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大船渡市内の民有林における今年度の伐採届申請が、前年度を大幅に上回って推移していることが分かった。一昨年十月に市内を襲った低気圧による強風で倒木に見舞われ、景観保全、安全確保などの
面から伐採を判断した所有者が増えたとみられる。低気圧被害の処理はまだ進んでいない地域もあるほか、伐期を迎えている森林が多いことから、市農林課では今後、伐採後の「適地適木」指導に力を入れることにし
ている。
保安林と保安施設地区を除く民有林を伐採する時は、市町村に対して事前に届け出を行うことが義務づけられている。森林所有者自身で伐採する時は所有者が提出するほか、伐採業者などが森林所有者から山林の
立木を買い受けて伐採する時は、買い受け人が届け出る。
届け出は伐採を始める九十日から三十日前までに行う。伐採面積や伐採期間、森林の一部の木を選んで切る択伐か、全てを切る皆伐かの報告に加え、伐採後の造林方法などを記載する。
大船渡市農林水産部農林課のまとめによると、今年度における伐採届は四十五件が提出され、面積は六十四ヘクタールとなっている。
十八年度と比較して、件数は一・五倍、面積は二倍を超えるなど、大幅増で推移している。
増加の背景には、市内全域で倒木に見舞われた一昨年十月の低気圧による強風被害の影響がある。三陸町の綾里地区や末崎町碁石をはじめ、広範囲で風倒木被害がみられた。
申請は道路沿いにある民有林が多く、景観・安全上の観点から伐採を判断しているとみられる。また、市内の林業関係者は「木価低迷が続いており、風倒木の周辺にある立木も合わせて処理することで、伐採経費の手
出し負担分を抑える意識もあるのでは」と、面積増加を分析する。
市有林でも、一昨年の低気圧被害にあった四十禛のうち伐採・植林完了面積が現在七ヘクタールにとどまっており、私有林でも今後伐採届の申請が続くとみられる。また、市内には伐期を迎えたスギも多く、景観・安全
上の観点以外でも伐採を行う所有者が増えることが予想されている。
森林伐採は、林業振興や森林の再利用には欠かせない半面、一度に多くの森林が伐採されると、山腹表土や作業道崩壊などによって河川等への土砂流出といった懸念が生じる。また、伐採後に放置したままだと、森林
保全の点からも悪影響が生じるため、同課では伐採面積をできるだけ少なくすることや、作業道の埋め戻し、間伐での対応などを求めている。
伐採後の植林では、スギ、マツなどの建築用材となる針葉樹を植える場合、植林、刈り払い、間伐、搬出などの管理や作業が容易な林道近くの場所を勧めている。資源循環利用林としての活用に期待を寄せる。
こうした場所以外では、コナラ、ミズナラなどの植林を行うか、天然林として自然萌芽を促している。水源かん養機能や土砂の流失崩壊防止を行うことで、生態系保全林としての役割を担うよう指導している。
同課では「戦中、戦後に植えたスギは六十年が経過し、今後伐期を迎えることから、申請の増加傾向は続くことが予想される。伐採後地での植林は『適地適木』を基本に指導していきたい」と話している。