ID : 6662
公開日 : 2008年 3月10日
タイトル
県が日光杉並木の管理を担うボランティアを育成へ
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新聞名
下野新聞
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元URL.
http://www.shimotsuke.co.jp/hensyu/news/php/s_news.php?f=k&d=20080310&n=0
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元urltop:
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写真:
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国内で唯一、特別史跡・特別天然記念物の二重指定を受けている「日光杉並木」について、県と日光東照宮が樹勢の回復に苦慮している。生育環境の悪化や老齢化による枯死、風害による倒木が後を絶た
ず、二月二十四日の強風で被害を受けた杉は二十六本に上った。運用益で保護策を展開する「オーナー制度」は登録が伸びておらず、県は新年度から杉の管理を担うボランティアの育成事業を始める。
「今回倒れた中には葉が青々としていても、幹の中が空洞だった杉もあった」。杉を所有する東照宮の担当者は困惑の表情で話した。
管理する県教委文化財課は杉の樹勢を「良」「やや良」「やや衰退」「衰退」「ほぼ枯死」の五段階に分類している。先月の強風での倒木杉はいずれも「やや良」「やや衰退」で、目視検査をしている同課と東照宮は「外見の
目視だけで健康状態を判断するのは難しい」と言う。
総延長三十七キロ、古いもので樹齢三百八十年を超える杉は、枯損木や幹に亀裂が入った危険木、風害による倒木を伐採しており、本数は年々減少。一九六一年度に約一万六千五百本だった杉は、現在約一万二千五
百本と約25%減少した。
樹勢には生育環境が影響を及ぼしているという。アスファルト舗装や周囲の宅地化が進んだことから、同課は「根が十分伸びず、結果的に水回り環境が制限されている」と分析している。
県は保護対策として九六年度に「日光杉並木オーナー制度」をスタート。個人や法人に一本一千万円で買い上げてもらい、集めた基金の運用益で根を保護する樹勢回復事業に充てている。
登録本数は九七、九八年度には年間目標の百本を達成したが、九九年度から減少傾向に転じた。九九年度以降は不況などの影響で法人の解約も出始めた。二〇〇五年度は新規登録十五本に対し、解約二十五本と逆
転、現在の登録本数は五百四十七本と伸び悩んでいる。
本年度の新規登録者の中には「将来杉並木がなくなり、並木の名残を示す石碑が立つようでは困る」という思いから申し込んだ契約者もいる。同課は「杉の寿命は千年ともいわれている。手遅れにならないようオーナー
を募り、文化財としての価値を訴えていきたい」としている。
ボランティア育成事業は、下草刈りや間伐を行ってくれる人材を五年計画で育てるもので、計約百五十人の「杉の並木守」を養成したい考えだ。