ID : 6458
公開日 : 2008年 2月23日
タイトル
森林税県が使途拡大余る
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news/20080223-OYT8T00140.htm
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元urltop:
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写真:
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県は導入から3年目を迎える「いわての森林づくり県民税」の使途を拡大する方針を決め、新年度予算案に子ども向けの森林体験学習事業などを盛り込んだ。環境意識の高まりを背景に、鳴り物入りで導入さ
れた森林税だが、主な目的だった私有林の間伐は思うように進まず、予算もだぶつき気味。県は「税金の有効活用」を強調するが、税金の無駄遣いにつながりかねないと懸念する声も出ている。
今回の見直しは、森林税の使途を監視する事業評価委員会(委員長=岡田秀二・岩手大教授)が、2年間の実績を踏まえて提言。これを受け、県は2008年度から税収の使途を、〈1〉子どもたちの森林環境学習やボラ
ンティア育成講座〈2〉県民意識向上のための広報活動――などに拡大し、今年度より約4000万円多い7億1400万円を新年度予算案に盛り込んだ。
森林税は、県土の約8割を占める山林の再生を目指し、06年度に導入。県民1人あたり年1000円、法人は資本金などに応じて年2000円~8万円が課され、専用の基金に全額繰り入れられる。07年度の税収は約6
億7500万円。
税収の大部分は、針葉樹が密集して保水力が乏しくなった人工林の再生事業に使われている。県が森林所有者の許可を得て、間伐や広葉樹の植林などを実施している。しかし、06年度は目標の75%しか予定地を確
保できず、約1億4000万円の予算が余り、基金に戻された。
県林業振興課の阿部義樹・振興担当課長は「大事な木をしゃくし定規に間伐されるのではないかという不安が森林所有者の中にあり、説得に時間がかかった」と話す。新年度からは、現場をよく知る市町村が間伐の候補
地を選ぶ仕組みに変更するという。
森林税導入のもう一つの目的だった「県民参加の森林づくり促進事業」も、植林活動を行う市民団体などからの要望額が予想以上に小さく、予算消化のため2次、3次募集をかけても応募がなかった。その結果、07年度
は人工林再生では、ほぼ目標面積を達成したにもかかわらず、全体では約500万円の予算が余った。
今回の見直しは、こうした経緯を踏まえたものだ。ただ、県議会の一部には「『広報活動』を名目に無駄遣いされた年金保険料の例もある」「県民負担を減らすのが先」など、税額の引き下げや税廃止を求める声もくすぶ
る。
県立大の幸丸政明・総合政策学部長は「カネが余ったから他に使うのは安易な気もするが、見直しの内容自体は良いので、県民にしっかり説明して理解を求めるべきだ」と指摘している。