ID : 6159
公開日 : 2008年 1月29日
タイトル
紀州材で落石防護柵、間伐材を有効利用 県林業試験場
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新聞名
紀伊民報
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元URL.
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=139614
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元urltop:
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写真:
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世界遺産の熊野古道を訪れた観光客らに、紀州材の良さを知ってもらおうと、県林業試験場(上富田町)が間伐材の丸太を利用した落石防護柵を開発した。2008年度から試験導入するため、田辺市本宮町
で道路や駐車場など人目に付きやすい設置場所を探している。評価が得られれば10年度から本格導入したいという。試験場は「環境、景観への配慮と間伐材の有効利用につながれば」と期待している。
これまで木材が一瞬の衝撃にどれだけ耐えられるかという研究データがほとんどなかったため、公共の土木事業で使われなかった。最近になって景観や環境に配慮した公共事業が注目され、ガードレールや砂防ダム
の木質化など簡易な構造物に使われているが、木の強度を生かした本格的なものはなかった。
柵に使用しているのは直径14センチ(原木16センチ)、長さ3メートルの間伐材。鉄柱で挟んで固定する。06年度から研究している。
安全性を確かめる衝突実験では、直径約30センチ、重さ38キロの石が斜面上5メートルのところから落ちてくる衝撃力という国の基準で行った。実験では300キロの鉄球を振り子形式で衝突させ、基準値の5倍の衝撃
まで持ちこたえることを確認した。
耐久性では既存の防腐薬剤を加圧処理することで、約10年使用できることも分かった。建設費については、現在主流の網とワイヤロープを組み合わせた金属製より割高になるが、1・5倍以内に抑えたいという。
このほか、1区画(3メートル)ごとの修理が可能で、人手も少なく簡単に行えるというメリットもある。
井戸聖富研究員は「世界遺産の地に設置して多くの人に評価してもらいたい。木製品は人にも優しく、紀州材の良さを知ってもらうよい機会」と話している。
和歌山県は地形的に山間部と海岸線に道路が多く、県事業だけでも毎年、延長3キロの鉄製の落石防護柵が整備されている。