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ID : 5908
公開日 : 2007年 12月28日
タイトル
日本の森林土壌は欧米よりも地球温暖化緩和機能が高い
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新聞名
農林水産技術会議
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元URL.
http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/kouho/Press-release/2007/methane-20071220.html
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元urltop:
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写真:
 
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森林総合研究所は、日本の森林土壌が欧米と比べて単位面積当たりの温室効果ガスであるメタンの吸収(分解)量は2倍程度大きく、亜酸化窒素の放出量は半分以下であることを明らかにしました。
  このことから、日本の森林土壌は欧米に比べ、地球温暖化の緩和機能がより高いと考えられます。
  なお、本研究は、農林水産省「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業」で開発されたメタン及び亜酸化窒素の計測手法を活用して農林水産省「地球温暖化が農林水産業に及ぼす影響の評価と高度対策技術の 開発」による、都道府県の森林・林業関係の研究機関、大学等との共同観測ネットワークにおいて観測および解析を実施したものです。 --------------------------------------------------------------------------------
独立行政法人 森林総合研究所 理事長 鈴木 和夫
  研究推進責任者: 森林総合研究所 研究コーディネータ  石塚 森吉
      研究担当者  : 森林総合研究所 立地環境研究領域 養分動態研究室  森下 智陽
   Tel:029-829-8230
      広報担当者  : 森林総合研究所 企画部研究情報科長  上杉 三郎
     Tel:029-829-8130  Fax:029-873-0844

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【森林土壌でメタン、亜酸化窒素の放出・吸収量を測定する目的】
  メタンや亜酸化窒素は、二酸化炭素(CO2)の放出についで地球温暖化に影響をおよぼす温室効果ガスです。したがって、地球温暖化の予測や温室効果ガスの削減を考える上で、これらCO2以外のガスについても、 吸収・放出量を明らかにする必要があります。一般に、森林土壌はメタンを吸収し、亜酸化窒素を放出することがわかっています。しかし、これまで日本の森林土壌では測定例は少なく、メタンの吸収や亜酸化窒素放出の 全体像が不明でした。そこで、本研究では、我が国の代表的な森林土壌を26ヶ所選び、メタン吸収量と亜酸化窒素放出量を現地で測定しました。

【日本の森林土壌はメタンを吸収する働きをもつ】
  その結果、我が国の森林土壌全体で1年間に1ヘクタール当たり、6.9kgのメタンが吸収され、0.2kgの亜酸化窒素が放出されていると推定されました(表1)。
  このメタン吸収量、亜酸化窒素放出量の推定値を、地球温暖化指数(同等の温室効果をもつCO2の量に変換する係数)でCO2量に換算すると、メタン吸収量は347万CO2トン(CO2t)、亜酸化窒素放出量は159万CO2t となり、差し引きで188万CO2tのCO2吸収量に匹敵します。これにより、日本の森林土壌はメタンを吸収する重要な働きを担っていることがわかりました。

【欧米と比較すると、日本の森林土壌の単位面積当たりのメタン吸収量は大きく、亜酸化窒素放出量が 小さい傾向が明らかに】
  日本の森林土壌は欧米などの今までの報告と比べて、単位面積当たりのメタン吸収量は約2倍大きい傾向にあり、亜酸化窒素放出量は半分以下という小さい傾向でした(表1)。メタン吸収速度について火山灰由来土 壌は他の土壌に比べて特に大きな吸収速度を示しており(図2)、日本に火山灰由来土壌が広く分布するため、日本の大きなメタン吸収量につながっています。火山灰由来土壌が、多孔質であることが関係していると考え られますので、今後、この吸収メカニズムを解明していきます。

【本成果の発表論文】
タイトル:Methane uptake and nitrous oxide emission in Japanese forest soils and their relations to soil and vegetation types
      (日本の森林土壌におけるメタン吸収および亜酸化窒素放出~土壌および植生タイプに着目して~)
著  者:森下智陽・石塚成宏・高橋正通・阪田匡司・溝口岳男・稲垣善之(森林総合研究所)・
      寺澤和彦(北海道立林業試験場)・澤田智志(秋田県森林技術センター)・五十嵐正徳(福島県林業研究センター)・
      安田洋(富山県林業技術センター林業試験場)・小山泰弘(長野県林業総合センター)・
      鈴木祥仁(愛知県森林・林業技術センター)・豊田信行(愛媛県林業技術センター)・
      室雅道(大分県林業試験場)・金城勝(沖縄県林業試験場)・山本博一(東京大学千葉演習林)・
      芦谷大太郎(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)・
      金澤洋一(神戸大学大学院自然科学研究科)・橋本哲(島根大学生物資源教育研究センター森林科学部門)・
      馬田英隆(鹿児島大学農学部附属演習林)
掲 載 誌:Soil Science and Plant Nutrition(日本土壌肥料学会英文誌)
巻号(年):53巻5号(2007年)678~691、10月発行
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