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ID : 5595
公開日 : 2008年 1月 5日
タイトル
<地球発熱 第1部・備える> 2 伊勢神宮
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新聞名
中日新聞
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元URL.
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008010302076637.html
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元urltop:
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写真:
 
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 華やかな晴れ着姿の参拝者でにぎわう伊勢神宮(三重県伊勢市)。内宮正殿から南へ約8キロに、ヒヨドリが「ピッピッ」と鳴く以外は静寂が支配する広大な森が存在する。神宮「宮域林」と呼ばれる約5000ヘ クタールに及ぶこの山々もまた“神宮”だ。
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 いくつかのヒノキに白いペンキが一重、二重に塗られている。「これらは200年後に向け、遷宮の御用材とする目印。それが一部ながら今回の遷宮からかなうようになった」と神宮司庁の倉田克彦神宮技師(56)は感慨 深げに説明する。
 伊勢神宮は約2000年前に現在地にまつられたといわれ、20年に一度、全く同じ殿舎を隣接地に建立する遷宮を行う。壬申の乱に勝利した天武天皇が制度化し、第1回は持統天皇時の690年に行われた。だが、中世 期以降、異常気象や戦乱などの影響で120年以上の中断も経験した。
 建て替えに要するヒノキは約1万本。宮域林からの供給は鎌倉中期に不可能となり、紀伊半島、愛知県三河地方と求められた後、現在は主に長野県木曽地方の国有林から購入している。
 大正時代、地元の五十鈴川がはんらんしたのをきっかけに、宮域林での御用材の自給のため、1923年、神宮司庁に東京帝国大農学部の本多静六教授ら学識者が集められた。本多教授はドイツで林学を学び、日比谷 公園を設計した日本林学の祖でもある。
 特命委員会はヒノキと広葉樹との混交林をつくることや、多様な鳥類、昆虫の生息が巨木育成につながることを掲げ、数百年後を視野に植林計画を策定した。
 その結果、2013年の第62回式年遷宮では75ヘクタールにわたりヒノキを生育し、約700年ぶりに全体の約2割を宮域林から供給できる見通しとなった。
 京都議定書の第1約束期間(08-12年)で、日本は1990年比で6%の二酸化炭素(CO2)削減を目標としており、うち3・9%を森林整備で賄う目算だ。
 国の新年度予算案ではこの実現のため全国21万ヘクタールの整備に向け、550億円を投入する見通しで、宮域林も対象となる予定だ。
 昨年暮れ、インドネシア・バリ島で開かれた国連気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)で主要議題の一つとして議論されたのは、CO2の吸収源となる森林が、途上国で激しく劣化している点だ。
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 目崎茂和南山大教授(環境学、三重大名誉教授)は「伊勢神宮の取り組みは、持続可能な社会への示唆に富み、温暖化対策への世界の教科書となりうる」と指摘する。
 遷宮の際の旧材は全国の神社の用材に提供されるほか、最も大きい「棟持柱」は宇治橋の鳥居となり、さらに20年後、三重県桑名市の七里の渡し、同県亀山市の関の鳥居へと引き継がれる。
 倉田神宮技師は、こう言ってヒノキのこずえを見上げた。
 「森にこそ神は宿る。神の厳かさを五感で感じられる森づくりを私たちはしてきた。未来永劫(えいごう)の遷宮を見据えた森林管理だ。見届けることはできないが、このバトンは次の世代へしっかり引き継いでいきたい」
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