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ID : 5410
公開日 : 2007年 11月18日
タイトル
照葉樹林の復元100年計画の核
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新聞名
宮崎日日新聞
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元URL.
http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/?itemid=3399&blogid=5&catid=15
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元urltop:
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写真:
 
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照葉樹林の復元100年計画の核
 綾町周辺に広がる国内最大級の照葉樹林のうち特に原生林が多い約1167ヘクタールが、来年3月末までに世界自然遺産の屋久島や白神山地、知床と同じように、国の保護林としては最も規制が強い「森林生態系保護 地域」に指定される見通しとなった。
 九州では屋久島、沖縄・西表島などに続き五カ所目となる。綾の森では伐採の危機もあり、送電線鉄塔建設などもあった。町民と綾の森を愛する人たちの長年の努力が実った朗報だ。
貴重な動植物の宝庫
 町内の約8割が森林という綾町は戦後、林業の衰退に伴い次々と町民が町を出た。「夜逃げの町」とまでやゆされた。この苦しい時期に国有林の一部の照葉樹林伐採計画が持ち上がった。それを阻止したのは1966(昭 和41)年に町長に就任した故郷田實氏だった。綾の森は辛うじて残され、綾町は照葉樹林都市として日本中に知られる町になった。
 保護地域指定で保護されるのは、森林だけでなく動植物も含まれる。環境省レッドデータブックで絶滅危惧きぐ種に指定されているイヌワシやクマタカ、九州ではここだけ生息が確認されたクロホオヒゲコウモリ、南九 州と米国テキサス州だけに発生する世界的珍菌のキリノミタケなど多様で豊かな生態系は、魅力に満ちている。
 森林生態系保護地域は、日本の代表的原生林の保護が目的で規制は厳しい。綾の場合、樹齢300年を超える巨木のイチイガシやイスノキなどの森が広がる674ヘクタールが「保存地区」(コアエリア)で、学術研究や 山火事など非常災害の場合を除いて人の手を加えることはできない。山菜採取、キャンプなど一般の利用も制限される。
日本文化の起源の森
 コアエリア周辺の残りの493ヘクタールは「保全利用地区」(バッファゾーン)としてコアエリアを保護する緩衝帯の役目を果たす。人工林を間伐することで徐々に天然林を復元しながら、この一帯は森林教育やレクリエー ションなどに活用される。
 県内では1990年に指定された祖母山・傾山・大崩山周辺に次いで2カ所目、全国で29カ所目となる。
 九州森林管理局(熊本市)、県、綾町、日本自然保護協会、市民団体「てるはの森の会」の5者は、一昨年5月から国有林のほか県・町有林を含む約1万ヘクタールを対象に100年計画でかつて広がっていた照葉樹林を 復元しようと「綾の照葉樹林プロジェクト」を推進。プロジェクトの中核として「森林生態系保護地域」の指定も求めてきた。今回の指定は、今後の復元への核(コア)として大きな意味を持つ。
 綾の森での具体的な実践活動も次第に広がりを見せ始めている。特定非営利活動法人「宮崎文化本舗」は昨年度まで3年間、「照葉樹林の回廊構想啓発事業」として、綾町周辺で照葉樹林に関するシンポジウムや体験 講座の開催、ガイドブック作製、ガイドボランティアの養成などを進めてきた。
 一方、県民全体を見渡したとき、どれほどの人が照葉樹林の価値を認識し、親しんできただろうか。今後の活動資金のめどや官民がどうやって足並みをそろえていくのか課題は多い。
 照葉樹林はお茶や納豆など日本文化の起源の森ともいわれている。最近では森の“癒やし効果”も高く評価されている。森林の持つ多様な機能を生かした取り組みを積極的に進めたい。
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