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葉っぱのメッセージ




ハナミズキ
暗黒の地平に一筋の希望の光。まだ望みはある。  商店街の街路樹にて   11月23日採集
 
ハナミズキ アメリカからやって来ました

  毎日通る商店街の街路樹がハナミズキ――1912年、東京市長だった尾崎行雄氏がサクラの苗木を
ワシントンに贈った。お返しとしてやって来たのが、このハナミズキ。アメリカヤマボウシと呼ばれる。
  葉っぱの形は、お月さまのように丸いものや、やや縦長の卵型がある。秋の街路や公園で美事な色づ
きを誇り、アメリカからやって来たことなどそ知らぬ様子で、日本の風に吹かれている。
ミズキ
細脈の階段を1段ずつ  登って行ったら……。  国立公園にて   11月18日採集
 
ミズキ くすんだ色みの大哲学者

  ハナミズキやヤマボウシの葉っぱに似ていたのでさぞかし鮮やかな色に紅葉するのだろうな、と期待していた。
ところが、あっさりと色が抜けたように黄変、くすんだ赤みへの変色。思いの外、地味な紅葉だった。私はあせ
って手当たりしだいに採集した。
  半年後、押し葉となったミズキの葉をとりだして描いてみると、地味だと感じていた色づきが、見るほどに描
くほどに艶やかさを増してゆくのに驚かされた。じっくり見れば、それぞれの持つ魅力が見えてくる。他との比較
じゃないんだな、と教えられた。
  春先に枝を切ると多量の樹液が水のように滴り出るから、水木という名前。幹から枝が車輪のように出て、不
思議な階段状の樹形をつくる。別名クルマミズキ。
ヤマボウシ
ぼよ~んとまあるい宇宙。  無重力状態だぼよ~ん。  国立公園にて   11月18日採
 

サンシュユ
葉裏の美しい褐色の毛で、  すぐに君だと分かった。  国立公園にて   11月19日採集
 
ヤマボウシ 遅れて登場した主人公
サンシュユ 神さま、縫い代間違えたでしょ

  ハナミズキを先に知ってしまったので、「ヤマボウシ」はハナミズキのことだとずいぶん長いこと思っていた。
葉の形も葉脈の縫い目もそっくりだったから。
  縫い目といえば、ここに縫い代を間違えられて縫われてしまった葉が1枚。名前はサンシュユ。強烈な印象
の葉っぱだった。激しい側脈間のふくらみは、いくら指先で平らに伸ばそうとしても、間違われて縫われたダー
ツのようにひだがよってしまう。
  神様工場の縫製ミス?――サンシュユの木の脇にしゃがみこみ、真っ赤に色づいた葉を手にとってそう思う。
裏返してみると、うす桃色の白っぱい葉裏にゴールドに輝く毛がかたまって生えていた。
  サンシュユは1720年頃、中国・朝鮮から薬用植物として渡来したそうだ。秋にアオキの実に似た真っ赤な
実を熟す。果実酒にして飲んだり、種を取り出した果肉を日に干して食べたり、もちろん生で食べても、疲労回
復や膝、腰の痛み、めまいや耳なり、イライラに効く。
  春先の葉の芽吹きに先だって咲く黄色の小花の美しさからハルコガネバナ、秋の実の深紅の色づきからアキ
サンゴの別名もある。葉っぱの縫製も、サンシュユというやや発音しにくい名前も、何かの間違いでは?と思われ
がちなやつだけど、こんなにたいしたやつだった――。
  でも、やっぱり神さま、縫い合わせ間違えたんでしょ。


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