ブナ美しく色づけるかしらと 不安げな葉先の変色。 緑の散歩路にて 11月15日採集 ̏W |
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イヌブナ
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ブナとイヌブナ イヌとは劣るという意味だけど 驚異の世界・裏側の神秘。今、隠された真実が明らかに! と書きたくなるくらい、イヌブナの 葉裏は神秘的な魅力であふれている。 十一月の終わり、せせらぎの道を歩いた。クヌギの落ち葉の中に、アワブキの黄葉した葉っぱ を一枚見つけた。木はどこだ。見回していると、はり巡らされた柵の向こう側にひときわ静かな様 子で黄色く色づいている木が一本。なんの木だろう。 柵を乗り越え、フワフワした落ち葉の地面になるべく体重をかけないようにヨタヨタ、怪しい人の 歩き方で近寄っていった。そして一枚、手にして―――ブナだ。葉裏を見てみると、毛足の長い 絹毛が白く光っていた。その毛並は犬のよう。イヌブナ! でも、実はこのイヌ、犬ではなかった。 ブナに似ているけど材質が劣るという意味。イヌブナに限らず、葉裏をのぞくとしばしば驚異の世 界にでくわす。裏側の世界にも関心をよせてみると世界観が変わるかも。そして犬好きの人には、 イヌブナの葉っぱを探すことをおすすめしたい。 きっと大好きになること請け合い。 |
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ウメこの葉を見るといつも ヒトの魂の形だと思う。 国立公園にて 11月18日採集 |
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ウメモドキ脈にたまった埃が 紫がかって本当に美しいな。 国立公園にて 11月18日採集 |
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ウメとウメモドキ よく似ているけど他人の空似 「もどき」とは、似ること・似せて作ることの意味。「もどき」と聞いてすぐ思い浮かぶのは、やっぱり 雁もどき。食べるとおいしいこの名の由来は、雁の肉に味を似せて作ったことから。さて、ウメとウ メモドキの関係は? 花や葉っぱの形、枝ぶりがウメに似ているからウメモドキと呼ばれる。でもウ メはバラ科サクラ属。ウメモドキはモチノキ科モチノキ属。ウメはニ~三月に花を咲かせ、六月に 実を熟す。ウメモドキは五~七月に花を咲かせ、晩秋に小さな赤い実を熟す。ウメモドキがウメの 後を追いかけているようだ。ウメの実は梅干しや梅酒として人間の好物。ウメモドキの赤い実は小 鳥の大好物。ウメの花言葉は忍耐で、ウメモドキは明朗。モドキと言われているのに明朗とは、な かなか前向きでいいなと思う。 |
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マユミ枝に翼があれば錦木に なれたんだ。翼をください。 植物園にて 12月6日採集 |
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マユミとコマユミ 艶やかな色づきに我を忘れた 錦とは、金糸・銀糸、色鮮やかな絹糸で美しい模様を織り出した厚地の絹織物のこと。マユミ・ コマユミの秋の紅葉は、この錦のごとく艶やかな色づきで人目を奪う。コマユミとまったく同じ葉 っぱなのに枝にコルク質の翼が出る前衛的な木のことをニシキギ(錦木)という。マユミ・コマユ ミ・ニシキギの関係は? みんはニシキギ科ニシキギ属。成功してふる里に帰ることを「故郷に錦 を飾る」という。――マユミの木はその昔、弓を作るのに使われた。この弓をひき成功して故郷に 錦木を植えた。志半ばで夢の翼がへしおられ、コマユミを植えた。などと想像がふくらむ。でもど うしてコマユミを小錦と名付けなかったのか、ふに落ちない。 |