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ケヤキ 魔女の上手なほうきの隠し方 誰も足を運ばないような一角が植物園には必ずある。そんな場所で、小さなケヤキの木と出会った。生長すれば高さ五十メートル、幹の直径三メートルにもなるケヤキだけど、そこで見つけたのは膝丈、直径一センチのかわいいやつ。一人前に紅葉もしている。こんな姿を目の当たりにすると、家にもひと つ鉢植えで欲しくなってしまう。以前、成長しても握りこぶしほどで、潮吹きも楽しめるクジラが売って いると友人にうそぶかれたけれど、ケヤキの盆栽は「金魚鉢で育てるクジラの夢」を見させてくれそうだ。 近所の農家の暴風林は、ほうきを逆さにさしたような木だった。今思えば、あれがケヤキ。からっ風に墜落させられた魔女のほうきとしか思えなかった。 それにしても、魔女はいつ、ほうきを取りにくるのだろう。 |
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