花粉の少ないスギの植栽は、林野庁が進めている「花粉症発生源対策」の一環。全国では1999年から関東地方などで41万本が植栽されている。
植栽を計画しているスギは、県林業技術センター(矢巾町)が選定した品種「上閉伊14号」。同センターが昨年度調べた結果、従来の品種に比べて雄花の数が3分の1程度のために花粉が少なく、材質や耐冷性にも優れていることが分かった。
三陸中部森林管理署は昨年度、試験的に陸前高田市横田町の国有林に「上閉伊14号」を150本植栽。本年度からは本格的に大船渡市末崎町の通岡峠付近の2ヘクタールのスギの伐採林に約7000本を植栽する。23日は500本を市民とともに植える予定だ。
同管理署は気仙、釜石地区の国有林2万9000ヘクタールを管理。このうちスギは3834ヘクタール(13・2%)を占める。気仙地区では民有林の35%でスギが植えられており、民有林の全県平均19%を大きく上回る。
気仙地区は戦前からスギの植林が盛ん。土壌や気候条件など生育に適した環境で、気仙スギは国内でも高い評価を得ている。一方で、市中心部は三方を山に囲まれていることなどから、花粉の飛散量は県内でも群を抜いて高い。
同管理署の菊池忠調整官は「上閉伊14号の植栽で、少しでも花粉症で苦しんでいる人たちの助けになるだろう。植栽をさらに拡大できれば」と今後の成果に期待する。