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ID : 2602
公開日 : 2007年 1月30日
タイトル
社説:森林環境税 使途の明確化は不可欠
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新聞名
秋田魁新報
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元URL.
http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20070130az
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元urltop:
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写真:
 
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県は森林の保全・整備などに当たって県民の負担を求めるため、森林環境税(仮称)を創設する方針を固めた。今年の6月定例県議会に関連条例案を提出する予定という。反対意見もあるが、財源難の県の事情や森林の公益的機能などを考えれば、新税創設は趣旨を理解することができ、県民が森林は地域の財産であるという共通認識を抱くことにもつながると考える。
 ただし事業費を増税で賄うことは最も安易な方法だ。県は県民への説明や事業の絞り込み、事業費の使途の明確化などに力を抜くことは許されない。
 森林環境税は個人と法人を対象に、県民税への一定額の上乗せ課税が予定されている。年額は、法人が資本額に応じ2000?8万円、個人は1000円となる見込みで、増収総額は年間約6億2000万円になるとみられる。
 本県の面積は約116万1000ヘクタール。このうち森林は国有林約38万7000ヘクタール(約33%)、民有林約44万6000ヘクタール(約38%)の計83万3000ヘクタールで、県土の約4分の3を占める。民有林のうち県と市町村が保有する公有林は約7万3000ヘクタール(約6%)、私有林は約37万3000ヘクタール(約32%)。県は森林税を充てる事業を民有林で展開し、中でも私有林を優先させる方針だ。
 事業の内容としては杉と広葉樹の混交林化をはじめ、ナラ枯れの予防、民間団体による森林保全活動などを想定している。となれば、私有林の保全や整備などに県民の税金を投入することに異論も出ることだろう。しかし森林は所有者が誰であろうと、国土の保全や水源の涵養(かんよう)など公共的な役割を果たす。しかも木材の使途が狭まり、価格も低迷して私有林ほど木材の再生産や整備への意欲がそがれ、荒廃が進む現状では、公費の投入に意義を見いだせよう。
 森林整備に関しては特に、里山での事業を要望したい。里山はかつて材を再生産するだけではなく、薪を得たり山菜などを採ったりする場などとしても手入れが続けられてきた。その結果、奥山と人里の中間地帯として野生動物と住民の緩衝帯の役目も担っていた。近年、野生動物が頻繁に人里に出没して摩擦を起こすのは、里山が荒れ、緩衝帯ではなくなってきたこととも関係があるとみられる。
 事業実施に向けては、事務費や人件費など中間コストを切り詰めることも求めたい。森林の保全・整備は本来、行政が担当する事業を拡充して対応できれば、それに越したことはない。貴重な財源を直接、新税創設の趣旨にかなった形で使うようにすべきであり、使途を明示することは言うまでもない。
 森林環境税は地球温暖化防止の観点から、森林の二酸化炭素吸収力に期待する国レベルの検討課題でもある。しかし関係省庁、業界の足並みがそろわず、導入は森林の保全・整備を重視する地方が先行している。森林は全国に分布し、その機能は共通することを考えれば、もともと都道府県が単独で対応できる問題ではない。森林の公益的機能の評価と、それにかかわる税負担については、国と地方の役割分担や、県境をまたぐ広域的行政課題としての観点からも今後十分に検討すべきである。
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