ID : 15712
公開日 : 2010年 4月12日
タイトル
新日鉄化学 森林再生、CO2排出削減 間伐材からバイオオイル
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新聞名
SankeiBiz
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元URL.
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100410/bsc1004100502001-n1.htm
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元urltop:
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写真:
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新日鉄化学は月内にも、山林に放置された間伐材から石油製品に代わる燃料などに使う「バイオオイル」を生産する実証プラントを本格稼働させる。プラントは栃木県塩谷町と山梨県山梨市の2カ所にあり、2012年度をめどに実用化を目指す。使い道が限られる山林残材を有効利用して荒れた森林を再生するとともに、二酸化炭素(CO2)排出量の削減にもつなげるのが狙いだ。
実証試験は栃木県森林組合連合会が林野庁の「森林資源活用型ニュービジネス創造対策事業」として委託を受け、再委託先の新日鉄化学と産業技術総合研究所が連携して実施する。08年夏からプラントづくりや基礎研究など準備を進めてきた。事業費は今年度までの合計で約3億2500万円。
プラントでは、木くずと溶媒を混ぜたものに、電子レンジなどで利用されるマイクロ波を照射して木材の成分を分解し、液状のバイオオイルに変える。全量を溶かした全溶解オイルは工場のボイラーの燃料に、半溶解オイルは鉄鋼原料のコークスを製造する石炭系の原料の代替材などにそれぞれ使う。
マイクロ波は新日鉄化学の親会社の新日本製鉄が製鉄所で溶けた鋼を入れる容器内の耐火物を乾燥させるのに利用しており、今回のプラントではその技術を応用した。マイクロ波を使うことで、木くずを液状に溶かす時間を短縮できるなどの利点があるという。 栃木のプラントは木くずの処理能力が1日当たり1000キログラム、
オイルの生産能力が同880キログラムで、山梨は処理能力が200キログラム、生産能力が176キログラム。実用化に成功すれば、プラントを1県当たり15カ所程度設置したい考えだ。
全国の山林に眠る未利用の間伐材は年間860万トンに上り、バイオオイルが普及すれば林業の活性化も期待できる。また、石油や石炭由来の原燃料と異なり、木材からつくるバイオオイルは原燃料として使ってもCO2を排出しないとみなされるため、CO2削減が求められる製造業にとっても有望だ。