ID : 15644
公開日 : 2010年 4月 7日
タイトル
廃材を燃料に 業務用温水器、田辺の業者が開発
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新聞名
紀伊民報
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元URL.
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=187421
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元urltop:
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写真:
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和歌山県田辺市内の機器製作業者が、間伐材や剪定(せんてい)枝などの産業廃棄物を燃料にできる業務用の温水器を開発した。木質ペレットや木質チップを使う温水器と比べると、燃料の購入費用を削減できる。ビニールハウスや宿泊施設などでの利用をPRしている。
田辺市本町の沖野機械が企画し、同市秋津川の服部製作所が設計、製造した。新産業を支援する県の補助金制度の認定を受けた。
この温水器は、従来産業廃棄物として処分していた間伐材や剪定枝、端材などの木材、樹皮を燃料として直接焼却炉に入れることができる。
県内の山林では間伐で倒されたままの木があり、梅やミカンの剪定枝や、製材所で出る端材は焼却処分される場合が多い。これらの木材を木質バイオマスエネルギーとして有効利用できる。
木炭自動車の原理を応用し、木材から発生する可燃性ガスを燃焼させて、タンク内の水を温める。発生する熱量は樹種や乾燥具合によるが、1キロ当たりで3500キロカロリーほど。重油や灯油と比べると劣るが、木質ペレット(1キロで4037キロカロリー)の約87%、木質チップ(同1900キロカロリー)の約1・8倍になる。710リットルの水が1時間半で1度から82度、6度からなら93度まで加温できる。
価格の変動はあるが、1キロワットを得るのにかかる費用はA重油が5・4円、木質ペレットが11・7円、木質チップが5・7円ほど。木材はトラック1台分(300キロ)を5千円で引き取ったとすると、4・07円になる。ただし、県内では実際はこれよりも低価格で入手できるという。
効率よく燃焼するため、実験では一度に投入できる130キロの端材を燃やして残った灰は800グラムだった。炉内には発生した煙を焼き消す装置もついている。さらに別添えの大型サイクロンでばいじんを分離させて取り除くことができる。
炉本体は高さ約2・4メートル、幅約1メートル、奥行き約1・6メートル。サイクロンは幅、奥行き約1・2メートル、高さ約2・4メートル。煙突を含むと高さは約7メートル。用途、要望に合わせて大きさの変更が可能という。
ビニールハウスの加温、製材所の木材乾燥室の加温、集会所などの暖房・給湯、温泉や浴場の加温、施設の床暖房などでの利用を想定している。
沖野機械の沖野立夏社長(49)は「自治体に率先して導入してもらい、廃棄物を活用してもらいたい。CO2の削減にもつながる。安定的に燃料となる木材が供給できれば、民間業者も使いやすくなる」と話している。