ID : 15409
公開日 : 2010年 3月19日
タイトル
生物多様性保全は「サイクル」 企業活動はコストでなく投資
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新聞名
nikkei BPnet
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元URL.
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/special/20100318/103418/?P=1
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元urltop:
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写真:
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福岡市で2010年2月26~28日に開催された「生物多様性EXPO 2010 in 福岡」。パネルディスカッション「生物多様性とビジネスチャンス」では、住友林業山林環境本部環境経営部長の田中秀和氏と、阿蘇草原再生シール生産者の会会長の市原啓吉氏、環境NGOコンサベーション・インターナショナル・ジャパン(CIジャパン)代表の日比保史氏が、それぞれの生物多様性保全に対する活動を紹介。効果的な活動の在り方や消費者へのアピールの仕方などについて議論を交わした。
環境省の生物多様性地球戦略企画室室長補佐の鈴木渉氏が、「生物多様性民間参画ガイドライン」について説明 住友林業の山林環境本部環境経営部長の田中秀和氏は、同社の事業が木材という生物資源に依存していることから、「生物多様性は避けて通れない問題」と強調し、保全のための活動を幅広く展開していることを紹介した。
外材の輸入に際しては、2006年に社内に「木材調達審査小委員会」を設置し、200社ある仕入先を1社ずつ審査して、持続可能な木材であるかをチェックする体制を作った。同社は従来、主に天然材を使用してきたが、2009年秋にはインドネシアで産業植林も始めた。28万haを植林し、「木を切る場所と残す場所をゾーニングして、生産効率と環境保全の両立を目指している」。これらの活動は独立行政法人・宇宙航空研究開発機構や京都大学、さらに現地パートナーと提携して進め、活動から得られたノウハウを他社に提供する植林コンサルティング事業も展開しているという。
住友林業 山林環境本部環境経営部長の田中秀和氏 住友林業は国産材の積極的な活用も進めている。「国産材の活用は、海外の森林資源保護や、国内の人工林の荒廃防止につながる」として、既に住宅の主要構造材に占める国産材の割合を70%まで引き上げている。
同社は国内に合計4万494haの社有林を所有する。生物多様性保全基本方針を策定し、伐採時には伐採面積を最小限にし、隣接する人工林を10年間伐採しないなどの方針を定めている。また、水辺の広葉樹の保全、鳥獣類の生息調査や希少種の保護などを推進して、生物多様性保全に努めている。