ID : 15249
公開日 : 2010年 3月 5日
タイトル
地球環境の産業的解決 物産の挑戦】地道に育てた社有林
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新聞名
sankeibiz
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元URL.
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100308/mca1003080505006-n1.htm
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元urltop:
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写真:
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三井物産の森。三井物産が保有する社有林の総称だ。日本有数の広さで、全国73カ所に合計約4万4000ヘクタール。100年以上という長い時間をかけて森を守り、育て、少しずつ広がってきた。この森たちが、地球環境の保全にどれだけ役に立っているのかを示す数字がある。年間約16万トン(三井物産試算による)のCO2を吸収・固定しているほか、表面浸食防止や洪水緩和、水質浄化などの機能を果たす。
林野庁の資料から定量的評価を試算すると、年約1200億円の公益的価値を生み出しているという。
◆森林管理 FSC認証取得
この三井物産の森が昨年末、FSC(森林管理協議会)森林認証を取得した。FSCは環境団体や木材を扱う企業が発足させた、国際的な統一的森林認証制度を運営する非営利国際会員制組織。森林の管理や伐採が、環境や地域社会に配慮して行われているかどうかを、厳しい審査基準に基づき独立した第三者機関が評価し、認証している。三井物産の森は、国内の1万ヘクタール以上の大規模な森林を保有する民間企業としてFSC森林認証を取得した初めてのケースで、日本の林業の活性化にも役立つと言えそうだ。
FSC取得にあたり、三井物産は、FSC基準に基づき、社有林における森林管理区分を見直し、生物多様性保護林など6つに再区分のうえ、区分ごとの管理方針を設定した。さらに、全社有林の約10%を占める生物多様性保護林を4つに区分(特別保護林、環境的保護林、水土保護林、文化的保護林)し、より踏み込んだ森林管理の実現を目指す。◆基金設立 活動を支援 一方、地球環境問題の解決に向けたさまざまな活動を支援し、経済と環境が調和する持続可能な社会の実現を目的として、三井物産は2005年7月、「三井物産環境基金」を立ち上げた。04年11月、ディーゼル車の排ガス浄化装置に関する当局あての認可申請データの捏造(ねつぞう)問題が発覚したことを受け、問題を風化させないためにこの基金を設けた。
助成プログラムは、実践的な環境貢献活動を支援する「活動助成」に加え、07年度からは環境分野の研究に対する「研究助成」を開始し、環境分野の活動・研究に対し幅広く助成を行っている。これまでの助成決定件数と金額は、09年度第1回助成までの累計で197件、23億400万円にのぼる。また、環境意識の浸透を目的として、グループ企業の社員や家族が基金の助成先の活動に参加するプログラムも実施。NPO法人アサザ基金と共同で、茨城県牛久市近郊の荒廃した水田と周辺の生態系を、コメ作りを通じて再生するなどの活動を展開している。