ID : 15186
公開日 : 2010年 3月 3日
タイトル
学校施設の木材利用推進で報告書案/林野庁,文科省の研究会
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新聞名
日刊建設通信
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元URL.
http://www.kensetsunews.com/news/news.php?date=20100303&newstype=kiji&genre=0
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元urltop:
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写真:
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農林水産省林野庁と文部科学省は2日、学校施設の木材利用の推進を検討する「学校の木材設計等を考える研究会」(座長・長澤悟東洋大教授)を開き、報告書案をまとめた。木材利用を進めやすくする方策として、木材を活用した学校施設整備の目的を明確にした上で、関係者間が共通理解を持つために行政、材料供給者、設計者、施工者、教職員、PTA、地域住民などによる検討組織を整えることが必要とした。また、自治体には木材利用推進方針や計画を定めて、公共施設、公共土木工事で積極的な木材利用に取り組むことが重要と説いている。研究会は25日に会合を開き、報告書をまとめる。
報告書案は、(1)学校施設における木材利用等の現状と取り組み(2)木材利用の意義と効果(3)木材利用を進めやすくするための方策(4)木材を利用したさまざまな空間(5)今後の課題――で構成する。方策では、行政や材料供給者、設計者、施工者などによる検討組織の設置だけでなく、実際に木材を利用する学校づくりの進め方を提示。木造施設建設や内装木質化の条件、検討組織や設計者選定での検討内容例、工事発注方式などを記述した。発注方式では、先に木材調達の準備を始めることができる材工分離発注方式と一括発注方式を示している。
また、各自治体の実際の取り組み事例について、学校整備の目的や設計者の選定、木材調達の取り組み、木材の性能確保、工事発注方式、課題・反省点などを紹介している。
今後の課題では、▽木材利用が進む社会システムづくり▽公共建築物の整備に対応した木材製品の安定供給と加工体制整備、木造設計担い手の育成など▽設計、施工、行政、材料供給、地域住民などの関係者の連携を支援するコンサルティング的な役割を担う組織の形成▽公共施設に必要な大断面、部材の規格化▽規格化に伴う部材の流通によるコストダウンと、幅広い種類の部材価格が建設物価の資料に反映されることによる積算手法の確立――などをあげた。
また、農水省が来週の閣議決定を目指す「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案(仮称)」では、公共建築物の整備に使う木材を製造する業者の登録制度創設、同省と国土交通省が利用推進の基本方針を定めることなどを規定する。国の目標は、率先垂範の観点から「低層の公共建築物は原則としてすべて木造化を図る」とすることが想定されている。また、法の制定により、官庁営繕基準に木造建築物の技術基準を整備し、整備後に自治体へ普及させるほか、予算上でも支援して木材利用を促進する。このため、今後、地域の建設業は、林業・木材産業と連携することで地域活性化や地球温暖化防止などに貢献できる可能性が広がる。
法案は公布日から6カ月以内の施行を予定している