ID : 14967
公開日 : 2010年 1月19日
タイトル
古民家材木:じわり人気 解体後再利用、味わい深く強い-
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/nara/news/20100120ddlk29040504000c.html
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元urltop:
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写真:
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ケヤキの大黒柱、手斧の跡残る松の鴨居… 解体した古民家の材木を、建築用に再利用する試みが県内で進んでいる。柱に残る手斧(ちょうな)の跡など、歳月を感じさせる味わいが見直され、古材流通ルートもつくられている。古材流通関係者は「ごみを減らし、資源を活用してCO2削減にもなる」とアピールする。【栗栖健】
橿原市五条野町の建設会社「誠光建設」は昨年、古材の全国流通チェーン「古材倉庫」に加入。専務の白井大輔さん(30)が「古民家鑑定士」の資格を取った。
◇古くていい木、もったいない 母で取締役の典子さん(53)がテレビで流通チェーンを知ったのがきっかけ。典子さんは「元々、木の家が好きで、子供のころは、雨の日に甘くふんわりした校舎の木のにおいがして癒やされた。古くてもいい木なのに捨てられるのはもったいない」と話す。
現在、解体で出る古材のほとんどはごみ処理される。しかし、針葉樹のヒノキは伐採後200年までは曲げ、圧縮とも強度が2、3割増え、以後、緩やかに低下。建築後1000年以上たつ法隆寺のヒノキは、新材より強いという試験結果もある。
同社は、昨年11月、五條市上之町、農業、舟ケ崎和彦さん(78)方の築100年の母屋を解体し、古材を採取した。舟ケ崎さんは「老朽化のため壊すことにしたが、建築材を捨てるのは忍びない。新築する隠居所に使いたい」と話す。ケヤキの大黒柱、手斧で削った跡が残る松の梁(はり)と鴨居、杉の床柱、天井のすす竹などを取り出した。
◇CO2削減にも 手作業になるため費用、時間は機械使用より1・3倍ほど高くなり、新築に使うのも技術が必要という。しかし、「100年間、自然乾燥しており、あと100年は使える。古民家は宝の山」と白井さん。「新築家屋の木材の15%を古材にすると、日本全体で年6万トン以上のCO2削減になる」と試算している。