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ID : 1629
公開日 : 2006年 9月11日
タイトル
林業基本計画/百年対策に公的関与を
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新聞名
日本農業新聞
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元URL.
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0609/12.html
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元urltop:
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写真:
 
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国土面積の7割を占める森林は、多面的機能発揮など国民の森としての役割が大きいだけに、持続的発展が課題だ。政府が決めた森林・林業基本計画は、これまでの50年サイクルの森林づくりから長期的な「百年先を見通した森林づくり」に考え方を転換している。国産材の利用拡大とともに、抜本的な財政的裏付けがなければならない。    わが国の森林の4割が人工林、6割は天然林である。樹木が順調に成長し、豊かな土壌が保たれて、初めて機能が発揮できる。しかし、現実は森林所有者の高齢化、採算の合わない山の手入れ放棄などから荒廃地になる恐れが強い。森林所有者のうち不在村者の割合は1980年は18.8%だったが、2005年は24.4%と拡大している。    森林は植栽してから50年程度で、伐採が始まる。終戦直後に毎年30万ヘクタール程度という大面積の植林が行われたが、それが高齢級(50年以上の林齢)の森林として急増している。今後10年間で人工林の6割が高齢級に移行する。しかし、木材価格の低迷で本格的に利用される環境ではない。    このため、同計画では高齢級の森林の抜き伐(き)りに重点を移し、100年近くまで木を切る期間を延ばすよう誘導するとしている。また、野生鳥獣の生息環境、景観などに配慮するため、広葉樹林化、針葉広葉混交林化に取り組む。土砂の流出を防ぐため、樹種の異なる木が混在する複層林にするなど多様で健全な森づくりを推進する。森林所有者の負担を減少させるため、低コスト技術の普及を徹底するとしている。    同基本計画は森林・林業基本法に基づくものだ。2001年10月に決定した基本計画が5年を過ぎたため、見直したものである。前基本計画でも育成複層林の積極的な誘導を盛り込んだ。育成複層林は、2000年に90万ヘクタールであり、10年の目標は140万ヘクタールにした。しかし、05年では94万ヘクタールにすぎない。このため、今回の計画では15年の目標を120万ヘクタールに下方修正している。    目標通りにならなかった根本的な原因は、林業の採算性が悪く、森林所有者の意欲がわかないことであろう。林業家の8割は、山林所有面積が20ヘクタール未満だ。20ヘクタール以上を保有している林業家でも、平均林業所得は、05年度の林業白書によると年間42万円に過ぎない。林野庁がまとめた「望ましい林業構造」によれば、年間平均所得530万円を確保するためには、所有する森林面積が500ヘクタール必要としている。つまり、多くの林業家の採算性は絶望的だ。    森林は生態系を支えているだけでなく、二酸化炭素の吸収源としての役割は大きい。森林は公的役割が大きいだけに公的関与を強めるのは当然だ。豊かな森林資源を次世代に引き継いでいくために、社会的コストとして負担する根本的な仕組みが必要だ。
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