ID : 14502
公開日 : 2009年 12月23日
タイトル
県産材の住宅を設計する1級建築士
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/yamanashi/hito/news/20091223ddlk19070144000c.html
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元urltop:
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写真:
 
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環境を意識、木の良さ伝えたい--田辺久さん(53) どんな仕事ですか 
 ◆年に8~10件ほどの住宅建築を請け負うのですが、依頼の6割は県産材、残り4割も国産材を使っています。 
 なぜ県産材を 
 ◆柔らかくて快適なんです。殺菌・殺虫のための薬品による薫蒸をしないので安全性も高い。また、輸送に伴うコストや二酸化炭素排出を抑えられます。地元の木材を地元で加工することで、地域経済が活性化し、林業の衰退を防げます。 
 環境を意識したきっかけは 
 ◆大手住宅メーカーのコンサルタントをしていた95年に妻が病気で入院しましたが、仕事に追われて十分に面倒を見られませんでした。妻は回復しましたが「家族のためと思って必死に働いてきたが、正しかったのだろうか」と自問しました。 
 そんな時、知人に誘われて行った環境NPO「地球村」(大阪市)の高木善之代表の講演を聞き「たくさん稼ぐのが幸せ」という価値観が崩れました。子孫の将来も大事にしたいと思いました。 
 それで仕事も変わった 
 ◆まず、コンサルタントを辞めました。それまでは「最新のデザイン、技術を使うのがいい仕事」と思っていたので、照明機器を多用する設計をしていましたが、逆に太陽光を多く取り入れ、照明を減らすようになりました。 
 それ以降、最も難しかった仕事は 
 ◆北杜市白州町のレストラン「こふく亭」です。オーナー自ら近くの山から切り出した不ぞろいの杉を使ったため、苦労しました。ガスを引かず、電気は照明と冷蔵庫、そして水をくみ上げるためのポンプだけ。ソーラーパネルを取り付けましたが、電力をいかに効率よく使うかが課題でした。貯水タンクを設置するなどしてポンプの使用回数を減らす設計にしました。ノウハウがなく、大変でしたが楽しい仕事でした。 
 今後取り組みたいことは 
 ◆住宅だけでなく、幼稚園や保育園など子供のための施設を木で建てて、木のぬくもりを伝えたい。それ以外にも、いぐさを栽培して県産100%の畳を作ったら面白いとか、そんなことを考えると楽しくて仕方がないですね。