ID : 13689
公開日 : 2009年 10月26日
タイトル
【守れ!地球 企業が動いた】File4 リコー
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新聞名
フジサンケイ
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元URL.
http://www.business-i.jp/news/culture-page/news/200910260019a.nwc
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元urltop:
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写真:
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北限のトラ苦境 「森林を世界遺産に」
リコーは、生態系の中でも、とくに生物多様性が豊かな「森林生態系」に注目し、1999年度から環境NGOや地域とのパートナーシップのもとに「森林生態系保全プロジェクト」を展開している。
これらの活動は単なる植林とは異なり、土地固有の生物種の生息域や住民生活を守ることを主眼とするもので、環境NGOや地域住民とのパートナーシップを重視して行われている。
プロジェクトの特徴は「地域の森林生態系保全」と「地域住民主体の持続的森林管理」のバランスが良い持続的な森林生態系保全の枠組み構築をゴールに設定していることだ。立ち上げフェーズから協働フェーズ、自立フェーズへとゴール達成へ向けた着実な青写真が描かれている。
活動の資金は、継続して社会貢献を行うためにリコーが設けた「社会貢献積立金」から拠出されている。株主総会での承認のもと、毎年の利益から年間配当を差し引いた金額の1%(上限2億円)が積み立てられる。
プロジェクトのひとつに、ロシア「北限のトラ生息域タイガ保全」がある。日本や中国を市場として、大規模な森林伐採が極北ロシア全域で進んでいる。森林に共存して生きている地元住民や野生生物の生息環境が破壊され、世界的にも貴重な自然がなくなる可能性が高くなっている。
リコーは、国際環境NGOの「FoE Japan」をパートナーに、沿海州ビギン川流域の森林保全に2004年6月から取り組み始めた。
ゴールは「世界遺産登録により、原生林が残され、人も生き物たちもともに森の中で生きていけることを目指す」だ。
04年6月から07年5月までの立ち上げフェーズでは、地元・ウデヘ族の伝統を生かした民芸品や手芸品などのフェアトレード品づくりに村の住民たちが参加するように呼びかけた。また、トイレなどの衛生状態の改善や村人と言葉の通じないツーリストとのコミュニケーションの工夫を行うなど、エコツーリズムの整備にも取り組んだ。これらは、地域住民の生活安定を目指す取り組みである。
また、住民組織による密猟パトロールが定期的なものになる一方、ロシア国内の環境保護組織や先住民族組織が集まり、世界遺産登録を共通目標に協働する「ビギン保全アライアンス」が形成された。
07年6月から現在までの協働フェーズではこれらの取り組みが成果をあげる。民芸品や手芸品のデザインの幅が広がり、エコツーリストの受け入れに対する村としての参加協力が定着してきた。密猟パトロールでは、52件を摘発し、絶滅危惧(きぐ)種アムールトラの餌となるアカシカやイノシシを押収。ユネスコ世界遺産センターへの登録も前進した。ゴール目前の自立フェーズでは、世界遺産登録を実現し、その後の森林管理の仕組みや態勢を整える。
リコーでは、このほかにも、マルミミゾウが生息するガーナーでの熱帯雨林回復や、ハチドリが生息するブラジルでの大西洋岸低地熱帯林ボアノバでの森林復元など8つのプロジェクトに取り組んでいる。