ID : 13356
公開日 : 2009年 9月20日
タイトル
緑いっぱいの中国に 砂漠にマツ植林
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新聞名
中日新聞
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元URL.
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2009092002000195.html
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元urltop:
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写真:
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県内からも参加者 緑化協会 今夏も汗
『地道に続けたい』
中国の砂漠緑化に日本の多くの民間団体が取り組んでいる。その一つ、石川県からの参加者も多い日中友好砂漠緑化協会(会長・武村正義元衆院議員)は今年も八月に寧夏(ねいか)回族自治区の銀川市で、植林に汗
を流した。雨で崩れやすい黄土に覆われた荒野にマツの苗木を一本ずつ植える作業。役員として参加した元参院議員の岩本荘太さん(69)=金沢市=は「地道で時間はかかるが今後も続けたい」と語る。 (報道部・室
木泰彦)
同協会は一九九九年から中国北部の内モンゴル、寧夏回族の両自治区などの砂漠で植林を始めた。資金が限られ一回あたりの面積は〇・一ヘクタール程度だった。それが八回目の今年は初めて日中緑化交流基金の事
業に採択され、六百万円の助成を受けた。原則三年間継続で、二〇一一年度までに計百ヘクタールの植林が可能になった。
八月二十五日に岩本さんら石川県の十人を含む約五十人が現地入り。上海から空路約三時間、さらにバスで約一時間走った砂漠で、現地の民間団体と協力し、専門家の指導でマツの苗を植えた。
だが、途中は現地でも珍しい雨による影響で一帯を覆う黄土が雨水で崩れ、所々で道路が崩壊。安全のため、一行は、バスをいったん降りて安全な所で再び乗り込むのを繰り返さねばならなかったという。
植林地は起伏がなだらかだが、年間降水量が二〇〇~四〇〇ミリ(〇八年の金沢は一八五九ミリ)。植林の効果があるのは地下水が比較的豊富で、過去に草木が生い茂っていた場所だ。砂の飛散を防ぐため、地表には
枯れ草を正方形の格子状につないだ「方格沙障(ほうがくさしょう)」が延々と広がる。
その正方形の真ん中に、高さ数十センチ~一・五メートルの「障子松」の苗木を一本ずつ植える。雨で作業は遅れ気味だったというが、予定の約〇・一ヘクタールを終了。協会が提供した苗木購入費で、現地団体は年度
内に計三十ヘクタールを目指す。
帰国した岩本さんは「雨で崩れた黄土を見て砂漠の厳しさを実感した。現地の人は砂漠とどう付き合うか死活問題。基金を生かして成果を挙げたい」と話した。
日中緑化交流基金 砂漠化が深刻な中国の長江や黄河上流域では、森林減少が洪水や渇水をもたらし、土地の劣化にもつながっている。日本は1999年、当時の小渕恵三首相が訪中し、植林支援で100億円規模
の基金設立を発表。通称「小渕基金」といわれる。約18%の中国の森林面積率を2050年に26%以上とするのが目標。中国内の緑化活動と連携した日本の団体の取り組みを対象に、本年度は日中友好砂漠緑化協会な
ど74件、計7億1160万円に助成した。石川県の「世界の砂漠を緑で包む会」も選ばれている。