ID : 13234
公開日 : 2009年 9月15日
タイトル
「山のエコ学校」開校へ 大阪・堺市と奈良・東吉野村が連携
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200909150040.html
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元urltop:
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写真:
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1月に「環境モデル都市」の認定を受けた堺市と、林業が盛んな東吉野村が連携する。地球環境教育を行う「山のエコ学校」を開き、企業を巻き込んで大気中のCO2削減に結びつく森林の保全に取り組む。仲
介役はバス会社の奈良交通(本社・奈良市)。堺市は温室効果ガスの削減、東吉野村は過疎からの脱却、バス会社は乗客の減少を食い止める――。そんな「三方一両得」で課題解決を目指す。
◇
堺市(人口約83万人)と東吉野村(同約2200人)は86年、「友好都市」を締結。村のレジャー宿泊施設を堺市民が優待利用できたり、市の農業祭で村の物産を販売したりして交流を続けてきた。過疎が進む同村内に路
線バスを走らせている奈良交通は今年4月、内閣府が募集した「地方の元気再生事業」に「山村と都市の連携を図る」モデル事業として提案し、事業費1700万円が認められた。
地球温暖化対策に熱心な自治体を国が財政支援する「環境モデル都市」に選ばれた同市は、その行動計画に「市民参加や臨海企業等の協力で東吉野村における間伐作業などのエコツアーを行う」との取り組みを掲げ
た。同村は、山林に放置された間伐材を集めてストーブの薪として利用するプロジェクトを立ち上げたばかり。同社は「堺市と交流が深まればバスの乗客も増える」(水田典男・地域振興部長)との狙いで、三者の思惑が
一致した。
「元気再生事業」は、「吉野杉」に代表される良質な木材の生産地でありながら木材価格の低迷で苦しむ山村と、木材の需要先の大都市に関係を築くことで「吉野林業の再生」を図るのが目的。「山を育て・守ろう」「山に
学び・遊ぼう」「山で儲(もう)ける」の3科からなる「山のエコ学校」を09年度から3カ年計画で開校する。
同年度には、「山に学び・遊ぼう」科は都市住民向けに「木こり」「山の家具づくり」「森の音楽療法」など10程度の体験プログラムを予定。「山を育て・守ろう」科は、企業が社会貢献活動(CSR)として森林管理に資金や人
材を出す「森林アドプト制度」を創設(09年度目標1ヘクタール)。「山で儲ける」科は、木材や木工品など「村の資源をいかした商品開発」(同3点)を目指す。
同市の「環境モデル都市」づくりは、「産業構造の転換」や路面電車の導入といった「都市構造の変革」で温室効果ガス削減を図るが、「公害対策」の経験は豊富なものの、「森林保全によるCO2削減」は苦手な分野。同市
環境都市推進室の船本浩路副理事は「森林保全と企業のCSRをつなげる方法などハードルはまだ高いが、市内にはCO2を多く排出する企業が多数あり、CO2の排出権取引に注目している。森林体験などを通じて村と
の交流を深め市民の地球環境への意識を高めていきたい」と話す。