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ID : 13118
公開日 : 2009年 9月 7日
タイトル
山好きが支える「豊かな森」
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新聞名
中日新聞
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元URL.
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20090907/CK2009090702000015.html
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元urltop:
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写真:
 
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刈り取られたササが朽ち、じゅうたんのような感触の山道をひたすら歩く。急峻(きゅうしゅん)な沢筋を倒木を頼りに登る。林に入って約1時間半。標高2000メートル付近で作業する技能職員の元にようやくた どり着いた。
 安曇野市西部に広がる中房国有林。約5500ヘクタールの広大な森林で、松本広域森林組合(同市三郷温)の技能職員が6月から、木々を育てるための保育間伐を行っている。
 「ガガッ、ガガッ…」。早朝の山にチェーンソーのエンジン音がとどろく。カラマツの間を職員が忙しく動き回り、高さ10メートルを超える木があっという間に切り倒されていく。
 保育間伐は、切りすぎても残しすぎてもいけない。どれを切るかを見極め、チェーンソーの刃を当てる角度や倒しやすい方向を考えながら作業を進める。
 平らな足場はなく、常に滑落などの危険がつきまとうが、職員のフットワークは軽い。「細い木も含めれば一日200本くらい切るかな」。木くず除けのフェースガードと轟(ごう)音から耳を守るヘッドホンを外し、この道10 年以上の中村高広さん(43)=同市三郷温=は事もなげに答えた。
 間伐作業は現場までの通路をつくることから始める。無秩序に生い茂るササなどの下草や木を、地図を片手に刈り取る。同国有林では10人がかりで1週間ほどかかった。朝、何気なく歩いてきた山道がそれだった。
 同国有林で同組合が受け持つ面積は計約130ヘクタールにも及ぶ。東京ドーム28個分だ。冬の足音が聞こえてくる11月まで、職員10人が平日の毎日、早朝から山に入り作業に励む。
 「現場は本当に大変なんですよ」。記者に同行してくれた同組合事業課の武井均課長(48)が、作業を見守りながらぽつりと漏らした。
 現在、同組合では約60人の技能職員がいる。ほとんどが「山好き」の転職組で、平均年齢は46歳。今年は大卒の新人が入ったが、新卒者は数年に1人いるかいないか。武井課長は「県林業の将来を考えると、労働者 の確保は大きな課題。賃金にも魅力もないと若者が定着しない」と嘆く。
 正午すぎ、作業を終えた技能職員たちが続々と戻ってきた。過酷な仕事で疲労困憊(こんぱい)と思いきや、職員は皆すがすがしい表情。「大変じゃないですか」。思わず聞いてみると、「いやー、やっぱり山が好きだか らね」。異口同音にこんな言葉が返ってきた。
 当たり前のように身近にある「豊かな森」は、技能職員たちの汗で支えられている。
 【県林業の現状】 県の森林面積は約105万9920ヘクタール。県は地球温暖化防止などの環境施策の一環で、2015年度までに県内の森林約25万ヘクタールを間伐する計画を現在進行中。県によると、07年度の林 業就業者数は2643人。林業については、安い外国産材の輸入に伴う木材価格の低迷や、後継者、担い手不足などが喫緊の課題となっている。
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