ID : 12157
公開日 : 2009年 6月18日
タイトル
震度7に耐える建築技術確立=建物長寿化、環境性も優良-産官学
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新聞名
時事通信
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元URL.
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2009061700577
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元urltop:
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写真:
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阪神大震災級の震度7の地震がきても骨格などの主要部分が損傷しない建物を造る技術が、このほど産官学の共同プロジェクトで完成した。建物の耐用年数も従来の4~5倍の約200年に伸び、省資源化に
もつながる。寿命が短いとされてきた日本の建物を、長期間使用できる資産につくり変える発想の大転換だ。
建築基準法は、震度5強以上の地震では建物は損傷しても倒壊しなければよいと規定しているが、共同プロジェクトは、内閣府の総合科学技術会議の検討を受け2004年度に開始。5年間で開発から実証実験まで行
い、このほど成果をまとめた。
主要な工夫の一つが、従来の倍の強度を持つ鋼材の使用。その際、溶接だと施工が難しくなるため、高強度ボルトを使った非溶接結合の開発を進めた。地震の振動を吸収する仕組みの採用など構造面での工夫も重ね
、建造物の耐震性を高めた。
対象には、中高層オフィスビルやコミュニティーセンター、集合住宅などを想定。骨格を堅固にする一方、内部の間取り変更や、柱や壁の移動などをしやすくし、長期間使用中に用途変更の必要が生じても柔軟に対応で
きるようにした。
試算では、建物を長期にわたり壊さずに済むため、10階建ての建物をすべて新技術で建て替えた場合、従来比で廃棄物は1年当たり84%削減。長寿化による鋼材などの節約効果で二酸化炭素(CO2)排出量は31
%減らせるなど、環境にも良いとの結果が出た。
開発に当たった竹中工務店などゼネコン大手と新日本製鉄など鉄鋼大手は、新技術による建物の価格を従来の1割増し程度に抑えたい考え。今後、普及に向けて、まず公共施設などへの採用を働き掛けていく方針だ
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