ID : 11511
公開日 : 2009年 4月24日
タイトル
パソコンからチェーンソーへ 、第二の人生
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/yamanashi/news/20090425ddlk19040117000c.html
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元urltop:
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写真:
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◇長年勤めた会社が破綻、峡北森林組合に就職 「体はきついがご飯がおいしい」
景気悪化で雇用環境が厳しさを増す中、これまで必ずしも人気があったとはいえない林業が注目を集めている。県内でも、長年勤めた会社の破綻(はたん)を契機に、チェーンソーに第二の人生を託した人がいる。【
沢田勇】
笛吹市石和町小石和に住む望月康司さん(37)は18年間勤めた建設会社を昨年8月に辞め、同10月に峡北森林組合(北杜市)に就職した。
きっかけは昨年2月、勤務先の会社が経営破綻したことだった。
「会社が傾かなかったら、辞めていたかどうか分かりません。良いきっかけだったと思います」と望月さん。
スノーボードが好きで、長野県のメーカーが国産間伐材で作った板を愛用するようになったことから、林業に興味を持つようになった。会社が傾きかけたころ、森林組合の林業体験に参加、林業で食べていくことを決意
した。
会社では現場監督を務めた後、建築物の積算業務を行い、一日中パソコンとにらめっこする日々を送っていた。
望月さんは「人が住むには自然環境が必ず必要です。森林は本当に大切な存在」と話す。しかし、建設会社の仕事は、時に自然と対立する。自分の考え方を常に否定しながら勤務していたという。
「これからは自分の考え方を肯定して生きていきます」--こうあいさつして職場を去った。
月収は半分、起床時間は午前5時になったが、日没後に山仕事はできないため、残業はほとんどない。妻と小学生の子供2人とだんらんできるようになったことが、何よりもうれしいという。
しかし、林業は重労働。峡北森林組合の名取清嗣参事は「山仕事は甘くない」と、安易な動機での転職にはくぎを刺す。名取参事によると、辞める人はおおむね1カ月で重労働に耐えかねて音を上げる。たった1時間で
退職した人もいたという。
転職から半年。望月さんは笑顔で自分の選択が正しかったと振り返る。「体力的にはきついですが、ご飯がおいしくなりましたよ。不満はないです」
◇ ◇
農林水産省や都道府県、関係団体には、農林水産業への就職希望者のための相談窓口がある。農水省によると、昨年12月から今年4月8日までに全国で2万1417件の相談があり、1370人の就職が決まった。そのう
ち林業は957人と約7割を占めた。