ID : 11489
公開日 : 2009年 4月23日
タイトル
地中貯蔵でCO2削減 地盤改良に丸太打設 実証実験で効果確認
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新聞名
福井新聞
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元URL.
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news2/article.php?storyid=6943
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元urltop:
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写真:
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不要な樹木を伐採し、地盤改良の資材に活用することで温室効果ガスを削減する「地中カーボンストック技術」の共同研究を進めている県雪対策・建設技術研究所と福井高専、飛島建設(本社東京)などは、
スギの丸太を使った地盤改良が二酸化炭素(CO2)の削減につながることを敦賀市で行ってきた実証実験で確認した。今後も詳しい検証を行い、2010年度中の実用化を目指している。
樹木は光合成によって大気中のCO2を吸収するが、間伐せずに放置すれば生育が進まずCO2の吸収量は増えない。逆に風雨や雪害で木が倒れ、幹や枝葉が朽ちると吸収したCO2を内部から放出するようになる。
このため、間伐や植林などの手入れをしていない森林は、CO2削減にほとんど寄与していないのが実情だ。
地中カーボンストックは、樹木が朽ちる前に間伐し、CO2を放出しないよう地中に埋設してしまうのがポイント。樹木が生育中に吸収したCO2の量と、この埋設の際に排出されるCO2の量を比較し、吸収量が多ければ
温室効果ガスの削減につながる。伐採した樹木を単に地中に埋めるだけでなく、地盤改良の資材として使えば間伐材の利用拡大にもつながり、一石二鳥の取り組みといえる。
実験は昨年春から、敦賀港に長さ28メートル、幅13メートル、深さ4メートルの溝を掘り、ヘドロ状の土を流し込んで軟弱地盤に見立てた施設で行ってきた。
直径15センチ、長さ3メートルの県産スギの間伐材丸太146本を、0.5メートル間隔と1メートル間隔の2通りに打ち込んだ。この上に、構造物の荷重を想定した盛り土(高さ1.5メートル)を施した。
実験に伴うCO2の排出量は、丸太の伐採搬出や盛り土の運搬(距離2キロ)、打設などによるものを推計した。これとすべての丸太が伐採されるまでに吸収したCO2の推計量を比較した結果、0.5メートル間隔のエリ
アでは、3.2トンの削減効果があった。1メートル間隔のエリアでは、0.8トンのCO2削減を確認した。
0.5メートル間隔に限っては、盛り土の運搬距離を延ばした場合の比較も行い、50倍の距離にしても削減効果があることが分かった。
実験は、10月ごろまで盛り土がどれだけ沈下するかを測定するが、今のところ道路地盤としての強度に問題はないという。さらに検討を重ね、1年後の実用化につなげていく。
県などは「丸太や盛り土などの材料を地元で調達し、運搬距離を短くすることが重要。条件を考慮して工事を行うことにより、地球温暖化防止対策になる」と結論づけている。