ID : 11151
公開日 : 2009年 4月 7日
タイトル
自然エネルギー、多様化じわり――近畿の自治体、地域特性生かし開拓
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新聞名
日経ネット関西版
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元URL.
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news005895.html
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元urltop:
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写真:
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近畿の自治体が地域の産業や地理の特性を生かした自然エネルギーの導入に乗り出している。和歌山県は森林業者による間伐材を利用した木質バイオマス(生物資源)事業を支援。神戸市は沖合の埋め立
て地で風力発電所の設置調査に着手する。近畿では太陽光発電以外の新エネルギー導入の動きが鈍い。エネルギー源の多様化や地域振興をにらみ、独自の手法も取り入れて事業の本格化を目指す。
和歌山県森林組合連合会が導入する木質パウダー製造装置のデモ機
和歌山県は2009年度、山に放置される間伐材や樹皮をパウダー化して再利用する木質バイオマスエネルギー事業を推進する。県森林組合連合会が今秋、県などの補助を受けて御坊市の木材共同販売所内に木質パウ
ダーの製造装置を設置。隣接する日高川町の温泉施設に、年間最大750トンのボイラー燃料を供給する計画だ。
木質パウダーの製造装置や専用ボイラーは技術開発ベンチャーのバイオマス・プロダクツ(東京都武蔵野市)が開発。国内初の導入で、チップやペレットによる従来手法に比べ燃焼効率が高まり二酸化炭素の排出削減
につながるという。
バイオマスエネルギーは資源の安定確保や採算性に課題があり、実用化に慎重な自治体が多い。だが間伐材などを再利用するこの方式は「小規模な地域内でのエネルギーの地産地消に向いている」(県企画総務課)
とし、林業振興と環境対策の両立を目指す。
神戸市は09年度から東灘区の六甲アイランド沖で埋め立てが進むフェニックス事業用地(88ヘクタール)を候補地として、風力発電所の導入調査を始める。
同市は2010年度末までに新エネルギーの利用を盛り込んだ「地球温暖化防止実行計画」をまとめる方針。六甲山地から吹き下ろす風などで発電に十分な風力があると判断すれば、2―3年後をめどに風力発電を事業
化する。
平野が少ない近畿地方では風力発電に適した場所が少なく、兵庫県の淡路島や和歌山県など「一部の地域にしか設置されていない状況」(近畿経済産業局)。山と海に囲まれた神戸市も陸地での設置が難しいため、沖
合の埋め立て地での立地を検討する。
冬場の季節風を活用する(京都府が運営する伊根町の太鼓山風力発電所)
京都府内では日本海側の冬場の季節風をエネルギーに活用。府の委託を受けた京都府地球温暖化防止活動推進センター(京都市)などが府北部の丹後半島の一寸法師山(京都府宮津市、京丹後市、伊根町)に風力発
電の設置調査を進めている。
予定地は府が直営する太鼓山風力発電所(伊根町)の近く。3億―4億円程度の資金確保に向け市民の出資によるファンド設立を計画。事業計画や環境への影響などを精査し、今年度中にも近畿初の「市民風車」建設に
向け判断する。