ID : 10141
公開日 : 2009年 1月15日
タイトル
間伐材でCO2吸収…福井高専、早大などが研究
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/20090114kk02.htm
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元urltop:
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写真:
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地中埋め土木基礎に 森再生も
人工の埋め立て地盤で行われている間伐材の打設実験(敦賀市泉、県雪対策・建設技術研究所提供) 地球温暖化を進める二酸化炭素(CO2)を、間伐材に吸収させた後に地中に埋めることで排出を抑えようという技術
の開発を、福井県や福井高専、早稲田大、飛島建設(本社・東京都千代田区)などの研究チームが進めている。2010年度の実用化が目標。地盤改良工事などの際に大量に活用すれば、温暖化防止だけでなく、荒れ果て
た森林の再生にもつながると期待されている。
先進国にCO2の排出削減を義務付けた京都議定書の約束期間(5年間)が昨年から始まり、削減目標を達成するための技術開発が急務となっている。
研究チームでは木材の利用効果に着目。土木構造物などの基礎として、鋼材やコンクリートの代わりに木材を利用するようになれば、CO2をあまり排出しなくても済むのではないかと考えた。
木材は、1960年代頃までは土木構造物の基礎ぐいなどに広く活用されていたが、その後は「腐りやすく、耐久性に乏しい」などとして鋼材やコンクリート製のくいに取って代わられるようになり、現在はあまり使われてい
ない。しかし、チームが2004年に多大な被害の出た福井豪雨の後、福井市内を流れる足羽川で数多く発見された昔の橋の基礎とみられる木ぐいを調べたところ、杉から作られた最も古いものは78年前に設置されてい
たが、地中にあった部分は腐っていないことがわかった。
さらに文献調査でも、地下水位より常に下にあった橋脚やビルの木製基礎などは、86年前のアカマツ製を含め、樹種に関係なくすべて健全だった。空気の欠乏などにより、腐朽の進行が極めて遅かったためとみられ
る。
一方、丸太(直径18・2センチ、長さ3メートル)1本あたりのCO2貯蔵量は50キロで、50センチ間隔で設置した場合、木が吸収するCO2量は、伐採や木材の運搬、打設などの際に排出されるCO2量を大幅に上回る
ことも試算で確認した。
チームは昨年10月、敦賀市泉で、人工的な埋め立て地盤に長さ3メートルの杉の間伐材146本を打設。約2年かけて間伐材の腐朽状況などを計測し、建設工事に使えるかどうかを確認する実験を始めている。
県雪対策・建設技術研究所の久保光研究員は「森林組合などと協力し、工事現場の近くで木材の供給が実現すれば、CO2排出量を減らせる。環境への負荷が少ないシステムを作りたい」と話している。
浜田政則・早稲田大教授の話「64年の新潟地震で起きた地盤の液状化の際、基礎に使われた木ぐいが建物の傾きを抑えていたことが確認されており、木材利用は地盤改良技術としても有望だ。今後、科学的に効果を
証明する必要がある」