発電機は廃車の軽トラックを改造して製作。荷台のガス化装置で木炭を不完全燃焼させて発生させた燃えやすい一酸化炭素と、水素をガソリンの代わりにして、エンジンを回す。
その動力で廃車から取った5機の直流発電機を回し、電気を作る。蓄電池を積んで電圧を安定させインバーターで交流に変換しているため、ほとんどの電気製品が使える。
設計は同地区在住の市職員菅野賀一さん(56)が行い、地域住民が総出で約1カ月かけて製作した。費用は数十万円という。
同地区で4月下旬に開かれたシイタケの植菌体験会では、ほだ木に穴を開ける電動ドリルの動力として利用され、参加者からは力強い回転力に驚きの声が上がった。
同地区のホロタイの郷「炭の家」には大型の炭窯があり、木炭の生産が盛ん。木炭発電は大気中の二酸化炭素を吸収した木材を燃やすため、地球温暖化につながらないバイオマスエネルギーだ。
将来は発電機を大型化し、杉の間伐材や松くい虫の被害木の活用などでさらに木炭のコストを下げ、売電による地域活性化も考えている。
「田舎の昔ながらの暮らしを復活させるのが夢」という佐々木会長は、かつて農村ではまきなどのエネルギーを自給自足していたことを挙げ「今、まきで生活するのは難しいが、工夫次第でエネルギーの自給自足は 可能だ。地域資源を生かして環境に負荷をかけない生活を取り戻し、地域の特色にしたい」と話している。