ID : 9754
公開日 : 2008年 12月 8日
タイトル
木質ペレット:普及へ 温暖化防止に期待 課題はストーブ価格
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/yamanashi/news/20081207ddlk19040033000c.html
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元urltop:
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写真:
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県内唯一のメーカー「飯島製材所」
間伐材などの木材を粉末化し圧縮した固形燃料「木質ペレット」製造に県内で唯一取り組んでいる「飯島製材所」(飯島一省社長、山梨市南)が大型プラントでの製品化に成功し、11月から販売を開始した。地球温暖化
防止や農家の燃料コスト削減が期待される新エネルギーだ。初の県産ペレット普及に向けた課題を探った。【中西啓介】
木質ペレットの実用化に取り組むのは、同製材所の飯島省二さん(37)。約5年前から、製材業者や県職員らで作る研究会に参加し、木材を使った新エネルギーを模索してきた。ペレットは植物が原料のため、燃やして出
る二酸化炭素(CO2)は植物の光合成で相殺されてCO2の総量が増えない「カーボンニュートラル」なエネルギーとされる。北欧などでは、主要燃料の一つとしてストーブなどで使われている。
飯島さんが本格的にペレット製造に取り組み始めたのは昨年の11月ごろ。温泉設備の熱源に利用したいという要望があったほか、石油価格高騰に苦しむハウス農家の助けになると考えたためだ。製材所にとっても、製
材の過程で出る端材をペレット化すればコスト削減が図れると考えた。
県外では建設に2億円かかったプラントもあるが、飯島製材所には酪農用に木材をおがくずにする機械があったことなどから大幅に費用が節約でき、約3500万円でペレット製造が可能になった。費用の一部は国の助
成金で賄えるという。
おがくずを乾燥し、圧縮機で固めて作られるペレットは、長さ約2センチ、直径約5ミリの円筒形。添加物が必要ないため、子供が口に含んでも安全という。
現在の販売価格は1キロ当たり40~45円。熱量換算で灯油より安い価格設定になっている。
しかし、課題もある。一つはペレット専用ストーブの価格だ。
ペレットストーブは石油ストーブ同様、自動温度調節や自動燃料補給、タイマー制御など高機能だが、安い国産品でも1台30万円以上する。山梨市は市民に最大3万円の補助金を出す予定だが、それでも高い。煙突も
必要なため、一戸建て住宅でなければ設置しにくい。
また、需要が拡大するとペレットの質も問題になる。果樹剪定(せんてい)枝のペレット化を模索する動きもあるが、枝に含まれる残留農薬に関する基準はない。建築廃材が原料にされた場合は、人体や自然に有害な物
質が発生する危険性も指摘されている。しかし、現段階ではペレット原料に検査を義務づける規制はない。
飯島さんは「ペレットは林業の副産物として、あくまで地域のエネルギーとして使うべきだ」と話す。
行政は業者任せにせず、統一的な規制や継続的な調査に取り組む必要がありそうだ。
◇山梨市役所に設置
実際に使用されているペレットストーブは山梨市役所(同市小原西)で見ることができる。市は11月の新庁舎開庁時に、国産のペレットストーブを約70万円で購入し、東館玄関フロアに設置した。
1日約8キロのペレットを使うが、燃料費は320円と灯油に比べても格安という。このストーブ1台で一般家庭の40~50畳を暖めることができる。近寄ると、じんわりと暖かみを感じる。のぞき窓からは燃えるペレットを
見ることができる。