ID : 9018
公開日 : 2008年 10月 8日
タイトル
新種樹木「クリーンラーチ」 高いCO2吸収率に着目
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新聞名
十勝毎日新聞
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元URL.
http://www.tokachi.co.jp/kachi/0810/10_08.htm
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元urltop:
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写真:
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帯広市は、環境モデル都市選定に伴い、二酸化炭素(CO2)の吸収・炭素固定率が高い新種樹木「クリーンラーチ」を市有林に導入するための研究に着手した。クリーンラーチは道立林業試験場(美唄)がグ
イマツとカラマツを交配して開発。従来の造林用カラマツに比べて炭素固定量は7-20%も高く、市は「気候など地域の環境特性に適しているかなどを調べたい」と熱いまなざしを注いでいる。
サミット記念として市に贈られ、森の里小校庭で生育している「クリーンラーチ」の苗木
クリーンラーチは現時点で市場に出回っておらず、管内では7月の北海道洞爺湖サミット開催を記念してサミット道民会議が市に苗木1本を贈呈。9月に森の里小に植えられ、順調に生育している。
道立林試によると、樹木の炭素固定能力は成長の早さと材の比重で決まる。交配により成長量(幹材積)や材密度を高めることで、炭素固定能が上がることに着目。中でもカラマツ(不特定品種)と特定品種のグイマツ
(中標津5号)の交配種の炭素固定能力が最も優れていることが分かった。
道立林試では来年、民間の種苗生産者で挿し木による苗木作りを始める予定。市内では約40年で迎える市有林のカラマツ伐期が迫っていることもあり、入手でき次第普及させたい考えだ。市農政部では「今までの市
有林に比べて資産価値が高く、環境にもいい。防風林機能も含めて検証したい」としている。
市は2050年までにCO2の排出量を2000年比で半減する長期目標を掲げている。BDF(バイオディーゼル燃料)や木質ペレットなどでCO2排出量を減らす一方、植物によるCO2吸収量の増加にも着目している。
市有林には来年度、クリーンラーチと同じグイマツ雑種「スーパーF1」(母樹はグイマツ中標津3号)の試験導入も描かれている。従来のカラマツより、材の強さや幹の通直性などの材質で優れているのが特徴で、市
はグイマツ雑種の特性も研究していく。
(中津川甫)
クリーンラーチ 母樹をグイマツ、花粉親をカラマツとした交雑種。カラマツ(父)の成長の早さと、グイマツ(母)の野ネズミ食害に強く強度もある形質を兼ね備える。道立林試では1970年代に開発し、2種類のマツ
を交配することで互いの欠点を補うことに成功。カラマツと同じ樹齢40年ほどで材木に使えるという。交雑種のため挿し木で育てなければならず、苗の単価が高いといった課題もある。